千葉県が有害鳥獣対策の強化・促進のため、ふるさと納税で打ち出した返礼品が「キョン」製品だ。県内ではイノシシとともに、シカ科の特定外来生物「キョン」が農作物を荒らす被害が深刻化している。そのキョンを捕獲して、肉や革などに加工。ふるさと納税の返礼品として登場するのは画期的だ。
「キョンの肉はマズい、と言われていますが、実は鹿肉よりも食べやすく、おいしいんです。革製品の手触りはスベスベですよ」
と明かすのは、千葉県内のキャンプ場経営者である。続けて、
「キョンの肉をもっと売り出そうという動きは、数年前から千葉県にありました。ここだけの話、旧ジャニーズ事務所をちょうど独立したTOKIOのメンバーに来ていただき、DASH村的に活性化してもらおう、なんて企画も出ていました。まぁ、あれは福島県が舞台ですので、千葉では実現するわけもないまま、今に至りますが」
キョンは房総半島南部に多く生息しているほか、伊豆大島にもいる。1970年代、「週刊少年チャンピオン」の連載漫画「がきデカ」に、「八丈島のきょん!」というギャグがあった。八丈島でキョンが繁殖している説があったが、実は八丈島に野生のキョンはいない。
名前と風貌が可愛いだけに、食べることを躊躇する。そんなイメージから、長らく放置されていたというわけだが、狩猟関係者は、
「ただ単に駆除してしまうだけはかわいそうなので、『食肉としてイケる』ということを知ってもらい、その命を活用してほしいですね」
千葉のキョンがそのうち、全国区の存在になるかもしれない。
(小津うゆ)