真冬なのにホカホカなのだ。公式戦2年連続Bクラスに沈んだ巨人のことである。
本塁打王の岡本和真は年俸2億7000万円から1億5000万円アップの大サービスで、4億2000万円(推定、以下同)で契約更改。右太腿裏の肉離れで1カ月間離脱して打率2割8分8厘と物足りなかった坂本勇人はまさかの現状維持で、太っ腹の年俸6億円。5億円ももらいながらたった4勝止まりの菅野智之は、わずか1億円減の4億円に落ち着いた。長期間不在でリリーフ崩壊の張本人となった大勢も100万円ダウンにとどまり、減俸組もニッコリだったのだ。
大甘査定続出の、異例の「暖冬更改」になった背景について、スポーツ紙デスクが語る。
「コロナが明けて観客動員数が上昇したことや、WBC効果でスポンサーの付きがいいことが要因ですが、それだけではありません。ジャイアンツお家芸の大物FA選手獲得や大物外国人獲得が今年はなく、補強費が潤沢に余っている事情もある」
常識的に2年続けて4位低迷となれば大ナタを振り下ろされるものだが、秋広優人、山﨑伊織、門脇誠らも大幅昇給で、若手選手も手厚い契約を勝ち取っている。スポーツ紙デスクが続ける。
「球団の気前の良さは、阿部慎之助監督を迎えた新チームの士気を高めています。近年、巨人はFA移籍選手をバッサリ切り捨てたり、簡単に育成選手に落としたり、大減俸で追いやったりと、冷酷な仕打ちを繰り返し、ブランド力が落ちていました。選手に優しい、金払いのいい球団を構築して、選手間のマイナスイメージを払拭する意味合いもあるでしょう」
貰うものを貰った以上、来年は大いに働く必要があろう。
(田中実)