巨人・岡本和真が12月6日、契約更改交渉に臨み、1.5億円増の4億2000万円でサインした(金額は推定)。「めちゃくちゃいい評価をしていただきました」と本人はニンマリだった。
高卒入団10年目での年俸4億超えは、9年で到達した松井秀喜氏に次ぐチーム史上2位となる速さ。ただ、4億円突破よりも注目されたのが、この日の岡本の交渉時間が2時間ちかくかかったこと。「単年か、複数年か」という番記者からの問いかけに岡本は「内緒です」と笑ってごまかしていた。
長時間交渉の中身の一つは、メジャーへの移籍がある。順調にいけば2027年のオフに海外FA権を取得するが、そのとき岡本は31歳になっている。メジャー各球団は、このオフに岡本がポスティング移籍で挑戦するのではという期待を抱いていたが、「ウチではポスティングは一切認めない」との巨人フロントの意向で今オフは流れていた。ただ、それはあくまで現状での話。メジャー各球団での岡本の評価は、
「WBCの優勝が大きかった。岡本は本来三塁手だが、今季一塁も外野も守れることで一段と評価があがりました」(巨人担当記者)
と、ますます株が上がっている。
一方、巨人は5日に坂本勇人と現状維持の年俸6億円で契約を更新している。坂本は来年5年契約の最終年で「ダウン提示」も大いにありえる話だった。球団はスランプに故障と散々だったシーズンにもかかわらず、打率2割8分8厘、22本塁打、60打点の成績を高く評価した。
「多くの女性スキャンダルがありましたが、野球に関してはストイック。陰で努力をするタイプなんです。そうでなきゃ、この成績は出せません。読売グループとしての評価は微妙ですが、巨人フロント陣にとっては来季もチームを坂本ありきで動かそうとしています」(前出・巨人担当者)
巨人にしてみれば坂本の現状維持は「ヤル気」を維持させる「期待料」という目論みと、合わせて岡本が来季オフにポスティングで米大リーグに流出することへの対策も孕んでいる。いずれにせよ、今年のプロ野球界はWBCで一気に盛り上がり、同時にメジャー志向に一気に拍車がかかったが、岡本はその第一人者だ。
(小田龍司)