中田翔の移籍劇に踊らされた楽天に、球界内から同情の声が大きくなっている。
中田は巨人との契約期間中ながら、オプトアウトを行使して退団。自由契約となり、2年総額推定6億円という破格の条件で、中日に入団した。ある意味、鮮やかともいえる移籍劇に球界OBからは、
「話が事前にできていなければ、あんなに簡単には決まらないんじゃないか」
と指摘する声も出るのだが、ここで完全にワリを食ったのが楽天だった。
右打ちの一塁手が補強ポイントとされる楽天は、石井一久シニアディレクターが、中田の動向をチェック。水面下で獲得オファーを出したようだが、まるで相手にされなかったというのだ。スポーツ紙遊軍記者は、次のように背景を説明する。
「中日の年俸3億円提示に対し、楽天のオファーは1億円以下だったようです。でも、今季の中田の成績と年齢を考えれば、3億円は高すぎる。まして中日は2連続最下位で、選手の契約更改ではモメている。楽天の1億円は確かに安いかもしれないが、オプションをつければいいだけのこと。でも、そんな話にもならなかったようです」
この中田の態度に、首をかしげる球界関係者が続出しているというのだ。前出の球界OBも、
「巨人の出て行き方もFAではなく、直前のオプトアウトで礼を失したという人は多い。その上、楽天に対しては、歯牙にもかけないような態度。本当にそうなら、さすがに楽天は気の毒じゃないかな」
確かに現在の楽天は親会社の経営状況がいまひとつで、破格の条件を出せる状況にはない。だが断るにしても、それなりの動きがあっていいのではないか。
「水面下の接触なので、表には出ないと思っているのでしょう。でも、公式なテーブルにつくぐらいはしてもよかった気がしますね。門前払いのような感じに見えてしまい、貧乏球団には用がない、と言っているように取られかねません。実際、そんな報道もチラホラありますからね…」(前出・遊軍記者)
身売り説の再燃も囁かれる楽天は、さらなるイメージダウンになりかねない。同情の声が上がるのも無理はないのだ。
(阿部勝彦)