では、星野氏はどうやって実効支配を強めようとしているのか。三木谷オーナーの言う「高所から関わる」についてスポーツ紙デスクは、
「具体的なさじ加減は決まっていないようで、権限の線引きはハッキリしません。口出ししたい時にしてもらう。例えば『あの使い方はないやろ』『ローテーションが間違っている』『どないなっとるんや。お前、あそこの場面は交代やろ』というように。そのとおりになるかどうかはわかりませんが、『アンタ、黙っててくれ』と言える人間はフロントにも現場にもいません。少なくとも何らかの意向は働くのではないでしょうか」
チーム編成においても星野氏は影響を及ぼすつもりだ、との見方は強い。
「捕手は一軍と二軍合わせて5人しかいません。これは少ない。今、ベネズエラ人の捕手をテストしていますが、まずは育成スタートでしょう。だからトレードで獲得できる捕手を探しています。星野氏はそこにアンテナを張っているでしょう」(楽天担当記者)
こうした補強面では、星野氏の存在はプラスに働く面が大きいのではないか、と話すのは、スポーツライターである。
「例えば、巨人・原辰徳監督(56)は出身校の東海大グループに、岡田彰布氏(57)は早大をはじめとする六大学に顔が利く。星野氏はアマ球界に詳しい彼らとダイレクトに話ができます。あるいは、外国人を見るセンスについては、球界でも一目置かれている。これまでも、ロースター漏れしたメジャーリーガーに目をつけ、『ビデオを持ってこい』と取り寄せ、自分の目で確認したうえで、日本向きの選手かどうかを判断してきました。過去に中日などで助っ人投手にハズレが少なかったのは、星野氏の眼力だと言われています」
すなわち星野氏の「役割」は采配、チーム編成、FA、トレード、ドラフト戦略など多岐にわたり、加えて「困った時の調整役」でもあるという。星野氏が培った球界屈指の人脈を生かして口利きしてもらったり、「星野が言うなら」とコトが進むことも考えられるのだ。
星野氏が球団を仕切ることに成功し、チームが浮上すれば、それは「星野SA」の「陰の手腕」による実績となる。そして、その実績は、次のステージへと移る足がかりにできるのだ。それはいったい何なのか。
「星野氏には3つの野望があると言われます」
と話すのは、球界関係者である。
「まず1つ目は、『東北の王様』になることです。つまり、楽天を通じて三木谷オーナーと肩を並べる。三木谷オーナーは東北はもとより、中央の政府機関などにも通じ、顔が利きます。星野氏も財界人脈はかなりのものですが、そうした分野にもモノが言えるようになりたい。そのためにはまず、楽天を実効支配するのが先決であろう、と」
2つ目の野望は、コミッショナーの座に就くこと。スポーツ紙デスクによれば、
「星野氏の悲願は、あのONを超えたい、というもの。王貞治氏(74)はソフトバンク球団会長、長嶋茂雄氏(78)は巨人・終身名誉監督であり、球団専務でもある。それを超えるにはセ・パ会長、あるいはコミッショナーになるしかない、というのです。事実、星野氏は球界OBなどから『コミッショナーになったらどうか』と言われている。大騒動になった飛ぶボール問題でも、当時の加藤良三コミッショナーは何一つ決められず、リーダーシップはゼロだった。星野氏なら、そんな事態にはならないはずです」