テレビ東京の人気番組「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」に存続の危機が迫っている。地方の路線バスが相次いで減便や廃止になっているからだ。
長野県内で路線バスを運営する長電バスは24年1月21日から当面の間、11路線を日曜日運休にすると発表。すでに2路線が日曜運休になっており、これで13路線に拡大する。
大阪府富田林市で路線バスを運行していた金剛自動車は12月20日、全路線を廃止し、路線バス事業から撤退。翌日から4市町村や自治体が大手バス会社の協力を得て路線バスを運行しているが、運行されているのは15路線のうちの10路線で、便数も3割前後減少する。
これはほんの一部で、今後も日本全国で路線バスの減便と廃止が行われる。理由を交通系ジャーナリストは、こう解説する。
「労働環境がいいとは言えず、賃金も高くないバス運転手に大型二種免許を取ってまでなろうという若者が減っていました。そこにコロナ禍があってベテラン運転手が次々と引退。さらに来年から運転手の時間労働が規制される『2024年問題』で、乗務員不足がより深刻になります。路線バスの減便と廃止は今後も続き、解決される見込みは立っていません」
そうなれば「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」のルート設定は困難になることは必至。番組の存続自体が危うくなっているのだ。いずれルール変更を迫られるとテレビ誌ライターは指摘する。
「太川陽介の『バスVS鉄道』や『鬼ごっこ』、『陣取り合戦』といった『ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅シリーズ』は1万円までタクシーを利用できるようになっています。これは太川と蛭子能収がバス旅を再開した時に、歩きたくないという蛭子のためにできたルール。『バス旅W』はタクシーを利用することができませんが、変更しないと旅を続けられなくなるでしょう。12月に放送されたバス旅Wの第2弾ではバス路線が繋がらず、合計で約70kmも歩くことになりました。このままだと歩く距離は伸びるいっぽうです」
いつどんな対策が行われるのか注目したい。
(海野久泰)