冬になると気をつけたいのが、インフルエンザと「ノロウイルス」の感染だろう。
正式には「感染性胃腸炎」と言われ、11月から12月に流行のピークを迎える。ウイルスで強い感染力を持つのが特徴だ。特に、感染すると嘔吐や下痢に加え、発熱や痙攣の症状を発症するケースもある。カキなどの二枚貝を加熱せずに食べた場合に感染することが多いと言われている。ひどい症状の場合、6~12時間以上嘔吐が続いたり、緑色の吐物、血便、黒色便、激しい腹痛が止まらない。すぐ内科を受診した方がいいだろう。
さらに感染症のため、人から人にうつってしまうのが厄介な点だ。感染経路は、ウイルスが手や物を介して口に入る「経口感染」、空中に漂うウイルスを吸い込むことで起こる「空気感染」、汚染された食品を口にすることで発症する「食中毒」が主要なルートとされている。
一度、ノロウイルスに感染すると、発症から最低1週間は便にウイルスが含まれている状態になる。となると患者自身が感染源となってしまうため、最低でも1週間は他人との接触には注意が必要だ。
「ノロウイルス」は、感染を完全に防ぐことは難しいが、感染リスクを低減させることは十分可能だ。
まずは、できるだけ食品を加熱された状態で食べることだ。一般的に、85℃~90℃で、90秒間以上の加熱処理を行うことで、ウイルスは感染力を失うとされている。加熱前の貝類を処理した調理器具も感染源のため、洗浄消毒する必要がある。
手洗いうがいの徹底もポイントだ。「ノロウイルス」は、便を扱った手から感染するため、食事の前やトイレに行った後など石鹼などを使って手洗いが重要だ。以上のことに気をつけて感染を防ぐようにしよう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。