大学のトップとして、文筆家として、信じられない言葉を口にしてしまったのが、日本大学の林真理子理事長である。日本大学ではアメリカンフットボール部員の大麻所持により、8月に警視庁が3年生部員を逮捕。部内で蔓延していた事実が明らかになり、芋づる式に部員計4人が逮捕される事態となった。
そこで問題になったのが、林理事長の8月2日の囲み会見での、この発言だ。
「違法な薬物が見つかったとか、そういうことは一切ございません」
ところが実際のところ、日本大学サイドは7月上旬に、アメフト部員寮内で植物片と錠剤を発見し、事態を把握していた。それだけに、林理事長のコメントは失言中の失言。大学側の対応にも疑問の声が上がった。
大学はアメフト部の廃部を決定したが、のちに新たなアメフト部を作る方針を掲げている。いったい何のための廃部なのか。スポーツライターがアキレ顔で言う。
「新アメフト部は変わらず競技スポーツ部所属で、今まで通り大きな予算が使え、スポーツ推薦も存続します。競技スポーツ部の予算や推薦といった権限を握る大学内の一部の人間を切らない限り、大学改革はできません。権限を握る抵抗勢力を駆逐できるのか、林理事長の2024年の大仕事となります」
林理事長の失言のほか、薬物をめぐるアメフト部のゴタゴタは、入試にも多大な影響を与えている。日大は日東駒専(日大、東洋大、駒澤大、専修大)というグループにくくられているが、
「不祥事によるブランド失墜は避けられず、受験生の日大離れで優秀な学生が他校へ流出します。そのため、日大の入試は易化しそうです。大東亜帝国グループ(大東文化大、東海大、亜細亜大、帝京大、国士舘大)や文東立松グループ(文教大、東京経済大、立正大、二松学舎大)を狙うレベルの受験生でも、今年は日大にチャレンジすれば、ワンチャンス合格する可能性が広がっていますね」(教育ライター)
大学法人としての責任を明確にし、スポーツ部のあり方を見直す。でなければ、信頼を取り戻すことは難しいだろう。
(田中実)