ケーキを通販で買うのはアリなのか。
高島屋で予約販売していたクリスマスケーキがグチャグチャに崩れた状態で届けられた問題で、テレビ番組と視聴者の間には「温度差」があるようだ。
このクリスマスケーキは高島屋のオンラインストアで、5400円(税込み)で販売。約2900個の予約発送を受け付け、12月22日から25日に配送された。ところが23日以降、SNS上で「箱の中で崩れているクリスマスケーキ」の画像が拡散され、25日までに高島屋には900件以上の苦情が寄せられたという。
同社は公式サイト上で、以下のように謝罪した。
〈このたび、弊社オンラインストアにてご注文いただきました<レ・サンス>ストロベリーフリルショートケーキにおきまして、一部の商品が崩れた状態でお届けしていたことが判明いたしました。当該商品をお買上げいただきましたお客様、並びにお届け先のお客様には、多大なるご迷惑とご心配をおかけいたしますこと、深くお詫び申しあげます〉
冷凍された状態で届くケーキが解凍、あるいはグシャグシャになって届けられること自体、論外なのだが、スイーツを食べ慣れている女性ネットユーザーの反応は意外なものだった。
「細心の注意を払って自宅に持ち帰っても崩れるのに、宅配便で届けてもらうなんてありえない」
「宅配業者が最も忙しい年末に、ケーキくらい自分で買いに行けばいいのに」
「配送量が増える時期に、丁寧に扱わなくてはならない『ケーキを送れ』は業者への嫌がらせ」
などと、高島屋や宅配業者に同情的なのである。
筆者は「宅配ケーキ派」で、玩具メーカーのバンダイが手掛ける、ケーキの上にポケットモンスターや機関車トーマス、すみっこぐらしのオモチャが乗っかった「キャラデコケーキ」を長年、お取り寄せしてきた。専門の宅配業者から手渡されたケーキは箱から冷気が上がり、凶器になりそうなほどカッチカチに固く、さらにプラスチックの型で固定されていて、崩れる心配はない。
おかげで「小さなお友達(子供)」は大喜びだが、舌が肥えた「大きなお友達(大人)」は正直なところ、冷凍・解凍したケーキより、デパ地下で販売されているフレッシュなフルーツとクリームたっぷりのケーキが恋しくなる。
冷凍技術が進化したとはいえ、女性ネットユーザー達の「そんなにクリスマスケーキに思い入れがあるなら、自分で買いに行け」という指摘には、宅配ケーキ派の自分も同感だ。
特に来年2024年は4月から、トラックドライバーの時間外労働の960時間(年間)上限規制が課せられる。今の便利な暮らしは年間1000時間近い残業を強いられてきたドライバーの自己犠牲のおかげでもあり、ドライバー不足に陥る2024年の今頃はケーキやお歳暮どころか、正月用の生鮮食料品が店頭に並ぶかどうかもわからない。
クリスマス明けの12月26日、高島屋の株に異変が起きる。前日25日に第3四半期の決算を発表、累計営業利益332億円で前年同期比45.3%増になったと発表したにもかかわらず、マイナス60ポイント以上も反落したのだ。
その原因が、民放局のみならずNHKまで、自民党の裏金問題やパレスチナ情勢、ロシアとウクライナの停戦交渉そっちのけで馬鹿騒ぎした影響だとしたら…。「クリスマスケーキ騒動」一番の悪者はテレビ局なのでは…!?
(那須優子)