元プロ野球選手・斎藤佑樹氏の「野球講義」がわかりやすいと評判になっている。
斎藤氏は引退後、「株式会社斎藤佑樹」を設立し、代表取締役に就任。CM出演や講演で引っ張りだこになっており、全国を飛び回る生活を送っている。中でも精力的に取り組んでいるのは、朝日新聞社と朝日放送テレビが運営するウェブメディア「バーチャル高校野球」での「フィールドディレクター」としての仕事だ。
斎藤氏は「高校野球の次の100年を一緒に作りたい」として、全国の高校を巡り甲子園を目指す球児を指導。昨年12月にエスコンフィールド北海道で開催された、プロ野球の現役選手やOBが高校球児を教えるイベント「夢の向こうに」では、約80人の投手を前に自身の体験を披露し「速球投手であれば直球で空振りを取るにはストライクゾーンよりもやや高めがいい」などといった、データを活用したアドバイスを送っていた。
スポーツライターが語る。
「斎藤氏の講義や指導が選手に評判なのは、常に彼らと同じ目線に立って親身に話を聞くからです。プロ野球では当たり前のことでも、高校野球ではまだまだ浸透していないことも多い。論理的な語り口はさすが早稲田大学OBと言えるでしょうね。高校野球の指導といえばイチロー氏も精力的に活動していますが、憧れの大スターを前に、多くの選手は緊張気味。その点、斎藤氏は『ハンカチ王子』のイメージが強く親しみやすいキャラで、選手も接しやすいようです」
プロ野球選手としては決して一流と言える活躍はできなかった斎藤氏だが、必ずしも「名選手=名指導者」ではないことは、長い野球の歴史を見ればわかるだろう。「お世話になった野球界に恩返しをしたい」と語る斎藤氏。将来は高校野球の「勝利請負人」になっているかもしれない。
(ケン高田)