まさに現代版打ち出の小槌と言えるのが、スマートフォンだろう。スマホ1台あれば、通信・通話はもちろんのこと、写真撮影、通信ゲーム、音楽配信、通販ショッピング、さらには多種多様のアプリを駆使すれば無限なサービスをそれこそ片手1つで手に入れることができるのだ。
もはや、古びたアナログ製品は希少価値こそあれ、過去の遺物となるのは時間の問題。つくづく文明の利器の恩恵を十分に受けたコンビニエントな世の中になったことを実感せざるを得ない。
そんな折に、12月10日に発売された「MEN’S NON-NO」には珍しい記事が掲載されていた。メンノンの人気モデルが集英社とビームスという2つの人気企業を訪れ、若手社員の「コミュニケーション力」についてレポートしているのだ。
記事では、ビームスのプレス担当者は、ショップスタッフ時代に「この前のジャケットはどうですか?」など顧客に合わせたメッセージを添えて信頼関係を築いていたと語っている。
一方の集英社「少年ジャンプ」の編集者は「とにかく相手の話をよく聞いて、最初の読者として正直な感想を伝えること」を心がけ、コミュニケーションを図っていたことを明かしている。
そしておもしろいことに、いずれもオンジョブでのコミュニケーションに気を使う2人がオフジョブにおいても“コミュ力あり”と選択しているのが「年賀状」なのだ。
それぞれが、「仕事でのエピソードなどひとりひとりに心込めてひと言メッセージを添えたい」(プレス担当者)、「あのときはすいませんでした、など普段言えないことも書ける」(編集者)と手書きのメッセージ付きの年賀状を送っていることを明かしているのだ。
この詳細は雑誌の他、News standアプリにて期間限定の電子版が無料公開されているが、いずれにしても若者から熱い支持を受ける企業の若手社員が意外にもアナログなツールを選択していることに驚かされる。
しかし、考えてみれば、時代はどんなに変わって生活がデジタル化されても、「元旦の初詣の後は自宅でゆっくりコタツでミカンを食べながら年賀状を眺めて1年を振り返る」という日本の伝統は、今後も大きく変ることはないのではないだろうか。
その際、真心のこもった手製の年賀状こそが最も有効なツールとなりうるのだ。また、年賀状のメリットは、メールのレスが遅れたり、ついつい返信し忘れるような筆不精な人にも有効な点だ。心機一転、新しい1年の計を迎える元旦に相手の手元に届く年賀状なら、普段はとんと音沙汰なしでも一発逆転巻き返しが図れる可能性が大きいのだ。
なによりも「Facebook」の「いいね!」や「LINE」のスタンプ1つだけで以心伝心が可能なデジタル時代だからこそ、たった一言でもぬくもりのあるメッセージが入った年賀状が、よりいっそうコミュ力の高いツールとなり得るのだ。
今年こそこんな小技を重ねてライバルたちにグ~ンと差をつけろ!
参考:MEN’S NON-NO
https://itunes.apple.com/jp/app/mens-non-no/id705001042?mt=8