2月4日まで東京芸術劇場で公演中の、沢口靖子主演、永井愛脚本・演出の二兎社公演「パートタイマー・秋子」が大絶賛だ。「科捜研の女」の白衣を脱いだ沢口は、失業した夫に代わってスーパーマーケットのパートを始める、元セレブ主婦を演じている。世間知らずの世田谷マダム、沢口がスーパーの裏側で見たものは…。
古株のパートタイマー集団は新入りイジメなど、やりたい放題。沢口は古株とどう対決していくのか。共演者には生瀬勝久やNHK朝ドラ「らんまん」で植物画家を演じた亀田佳明らが名を連ね、コメディー仕立てながら「リストラされた中年男性」「消費期限改ざん」といった身近なテーマとリアリティーあるセリフが観客に刺さる作品になっている。
沢口の生声と美貌に見惚れながらも、2時間40分の上演時間を感じさせない、お腹の底から笑えるコメディエンヌを見られるとして、評価は高い。
同作品は21年前、永井氏が劇団青年座に書き下ろし、再演を重ねた名作。二兎社の作品に沢口が出演するのは、13年ぶり2度目だ。
二兎社はNHKの大河ドラマ「光る君へ」の脚本を担当する大石静氏と永井氏の2人が設立した劇団。「榊マリコ」と同じように不正を見逃せない、正義感は強いけれど不器用なセレブ主婦を沢口靖子が演じるとなれば、「鉄板」「ハマリ役」間違いなし。チケット発売前から注目を浴びたことで、芸術劇場はじめ首都圏の公演は、補助席も含めて完売している。
エンターテインメント誌のインタビューでは、永井作品は沢口に合っていると、かつて津川雅彦に褒められたという。今回、見逃した人のためにぜひ、ロングラン上演や来年度以降の上演を続けてほしいものだ。