芸能

山本高広「モノマネ番組では新作を求められる」/テリー伊藤対談(3)

テリー 8年間くすぶって、ついに全国区になったじゃないですか。そうすると有頂天になるの?

山本 もう有頂天ですね。それで天狗になりました。

テリー アハハハハハ。あ、そう(笑)。どんなふうに天狗になったの?

山本 後輩に対して「お前、そんなネタじゃ全然ウケねえよ」って言ったり。

テリー ええっ! そんなこと言ったんだ。

山本 言ってました。だから今はもう大反省で、会ったらみんなに「あの時は悪かった」って謝ってます。

テリー でも、当時の勢いだとしょうがないか。社会現象だもんね。

山本 すごかったです。通帳にもいきなり何千万とか入ってきて。

テリー おおっ、すごい! でも、モノマネって大変だよね。常に新作を求められる。

山本 モノマネ番組がなければ、たぶんこんなに追われてないと思います。モノマネ番組って年に2回ぐらいあるんですけど、常に新ネタを出さなきゃいけないんですね。

テリー それは「出せ」って言われるの?

山本 言われます。「新しいネタじゃないと山本さんでもオーディションに落ちる場合もあります」って。

テリー へぇ、厳しいなぁ。桜井長一郎さんとか昔のモノマネの人ってずっと同じことやってたけどね。

山本 それもやりつつなんですよ。「山本の場合は、織田さんとか渡部(篤郎)さんとか、色々やってくれ」と。「その中に1個は新ネタを入れてくれ」っていう感じですよね。

テリー そうすると、「誰か新しい人はいないか」って、常にいろんな方向にアンテナを張ってる?

山本 アンテナは張ってますけどね。ただ、早すぎる場合があるんですよ。

テリー 早すぎるって?

山本 誰か新しい人が出てくるじゃないですか。で、「あ、この人面白いな」と思って、モノマネしてみたら「イケそうだ」と。「じゃあ、ネタにこの人を入れてみよう」って実際にやってみると、お客さんが「えっ、誰?」って。

テリー ああ、わかる! 俺も最近、ドラマの主役やってる人なのに全然わからないんですよ。月9みたいな有名なドラマの枠なのに。で、「誰これ」って聞くと、「すごい人気です」って。

山本 いちばんヒドかったのはMCの今田(耕司)さんと東野(幸治)さんの2人がわかってなかった。だから、先を行きすぎるとダメなんですよね。

テリー なるほどね。でも、それって芸人さんの永遠のテーマだよね。若いファンに合わせると年配のファンがわからないし、年配に合わせると、若い子は「誰これ?」ってなっちゃう。

山本 若い子向けにもわかるネタで、いちばんわかりやすいのは、今の芸人さんですかね。俳優さんになると、やっぱり年配の方がわかりやすい。

テリー そうだよね。

山本 だから営業とかに行くと、お子さんから60代、70代までいますから、バランスよくネタは作るようにして。ご年配の方に向けては西田敏行さんとか田原総一朗さん。若い子向けにはミキの昴生君とか、おいでやす小田さんとか。40代、50代には、やっぱり織田さんが強いですよね。

テリー モノマネ番組を見てるとコロッケさんとか今でも出てるじゃない。ほんと大変だよね。コロッケさんなんて、歌手で言えば北島三郎さんクラスなのに、今でも若手と勝負して、勝ち負けを決められちゃう。

山本 だから、僕らも退けないというか。よく漫才やコントの方が「なかなか上の人が辞めない」とか言いますけど同じですよ。もしかしたら、モノマネ界がいちばん辞めないかもしれないです。

ゲスト:山本高広(やまもと・たかひろ)1975年、福岡県生まれ。声優を志して上京し、代々木アニメーション学院に入学。卒業後は劇団員を経て、モノマネ芸人として活動。織田裕二の目薬のCM「キター!」のモノマネでブレイク。ケイン・コスギ、軽部真一、渡部篤郎、高橋克典など次々と独創的なモノマネ芸を作り出す。2010年頃からは声優としても活動中。2月23日(金)、「山本高広とオラキオのリンクリンクトークライブ」をLOFT9 Shibuyaにて開催。

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