テリー 最近、個人事務所を立ち上げて独立したんでしょう。
山本 そうですね。単純にもう自分でやれるなと思って。マネージャーさんも経理もいないので、全部僕がやってます。
テリー 大変でしょう。
山本 いや、自分で直接やった方が効率はいいですね。スケジュールを仮で押さえられちゃうと休めないし、常にマネージャーさんとも「あれ、どうなりました?」「いや、まだ連絡がなくて確定してないんですよ」とか連絡を取り合わなきゃいけないのが、意外とわずらわしかったんですよ。
テリー 不安はなかった?
山本 いや、不安でしたよ。だから、知り合いの社長さんや経理の方に色々アドバイスしていただいて。もう辞めちゃったんですけど、前の事務所のマネージャーさんにお金のことも聞きましたね。
テリー 「ギャラ交渉はどうやればいい」みたいな?
山本 でも、テレビも営業もだいたい金額は決まっていて、前の事務所に所属してた時と同じなので、あんまりギャラ交渉みたいなのはやらないですね。
テリー マネージャーさんってテレビ局に売り込んだり、仕事も取ってきてくれますよね。
山本 それも自分でやってます。今まで知り合ってきた方に片っ端から連絡したり。常に営業はしてますね。
テリー モノマネだけじゃなく声優業もやってるじゃないですか。それも当然続けていくんでしょう?
山本 そうですね。やっぱり映画が好きなので、40歳ぐらいから始めたんですけど。楽しくてしょうがないですね。
テリー いろんな声を出せると有利なんですか。
山本 いや、それは全然関係ないですね。声優はやっぱりお芝居なので。
テリー あ、そうなんだ。
山本 声だけの表現ってメチャクチャ難しいんですよ。そこにさらに「俺はこういう声が出せるからやってみよう」と思っても、その声で喜怒哀楽を表現できるかといったら、それは別ですし。あと、何回もディレクターさんと「そこはそうじゃなくて、こういう表現でお願いします」ってやってると、最初に出してた声を忘れちゃうんですよ。
テリー ああ、そうか。
山本 アニメとかコメディタッチのものは声を変えたりもしますけど、シリアスな外画とかだと、結構、自分の声でやってます。
テリー キャラクターの声の設定っていうのかな、それは自分で決めていいの?
山本 僕が経験したので言うと、まずブースに20〜30人の声優が入って、「ここからここまでやってみましょう」ってみんなでシーンを1回やってみるんですよ。
テリー まず、それぞれが考えたプランで演じるんだ。
山本 そうです。で、それが終わったら1人ひとりにキャラクター説明があって、「このキャラクターは後に怖くなっていくので、もっと低めでお願いします」とかディレクションが入る感じですかね。
テリー そういうのってチームプレイじゃないですか。失敗したらやり直しっていうプレッシャーは?
山本 あります。最初の頃、僕が失敗したら、大御所の方が舌打ちしながらブースから出ていきましたからね。「怖っ!」て思って。
テリー 「キター!」って言えばいいじゃない。
山本 言えませんよ。「お前、ナメてるのか」って怒られます。でも、そういうのを経て、今があるので。
テリー ほんとそうだよね。ちなみに織田さんには会ったの?
山本 いや、全然お会いする機会がなくて。いつかご挨拶できるといいんですけどね。
テリーからひと言
織田さんって善人の役が多いからさ、悪い役も見てみたいよね。泥棒の織田裕二とか(笑)。山本さんにもそういうネタ作ってほしいな。
ゲスト:山本高広(やまもと・たかひろ)1975年、福岡県生まれ。声優を志して上京し、代々木アニメーション学院に入学。卒業後は劇団員を経て、モノマネ芸人として活動。織田裕二の目薬のCM「キター!」のモノマネでブレイク。ケイン・コスギ、軽部真一、渡部篤郎、高橋克典など次々と独創的なモノマネ芸を作り出す。2010年頃からは声優としても活動中。2月23日(金)、「山本高広とオラキオのリンクリンクトークライブ」をLOFT9 Shibuyaにて開催。