突然ですが、私の連載は今回が最終回。そんなわけで、好き勝手に書いていいらしいので、ちょうど年末でもあるし、最後は1年を振り返ろうかと思ったのだけど‥‥。本当におかしな1年だったねぇ。そんな年に、私に連載を依頼したアサ芸は慧眼だったね(笑)。
この連載が始まったのは消費税が8%に上がった時だった。これが景気の冷え込みの主要因。ただし、それ以前から、私はアベノミクスには懐疑的だった。1ドル80円台だったのが、あっという間に120円の円安ですよ。その恩恵を受けられるのは、輸出中心の大企業だけ。それで、内需に頼っている中小・零細企業には悲劇でしかない。海外から輸入する材料は高騰しているのに、国内ではモノが売れないんだから、もう悲劇どころか地獄ですよ。
自動車業界も含めた輸出産業、大企業に勤める社員だって、消費増税分の給料が上がったかというと、そうじゃない。中小企業にお勤めの方は、もっと悲惨ですよ。私も水道メーターの会社を経営しているからね。社員を路頭に迷わすわけにはいかないから、もう大変だよ。どこかの国でドーンと買い取ってくれるとこないもんかね(笑)。
なのに、自民党はいまだにアベノミクスで景気がよくなったかのように主張している。でも、よく考えてみてよ。今の状況は景気がよくなったんじゃなくて、デフレを脱け出し始めただけ。これは違うんだから。デフレを脱却する契機はつかんだけど、まだ金が庶民に行き渡っていないし、金を使ってやろうという気分にはなっていない。少しだけ空気がよくなってきただけで、実際の景気回復はまだ先のこと。来年も不景気は続く覚悟は必要だよ。
本当に街を歩いてみなよ。お年寄りはスーパーにも行けずに、ディスカウントストアへ。会社員は激安居酒屋で愚痴をこぼすのが精いっぱい。「海外から観光客は増えている」と言うけど、そりゃ円安だから来るよね。じゃあ、海外の観光客がアサ芸を買ってくれる? 日本語を読めない人はまず買わない。まさに、アサ芸も内需頼みなんだよ(笑)。
そんな時に解散総選挙、議員を選び直す最良の機会だった。これを書いている時点では、まだ選挙は終わってないけれども(※週刊誌連載のため選挙前に執筆)、大方の予想どおりに、自民党が勝つんだろうね。野党がダラしないもの‥‥。つまり、非自民の選択肢がなかったということ。当選した自民の議員にも、それを承知しておいてほしいもんだよ。
だって、ヌケヌケと小渕優子さんが選挙に出ちゃったんだぜ。観劇会の収支が合わない、ワインを配った、つい2カ月前のニュースだっていうのに、選挙戦早々に、当選間違いないって報じられている。それでいいの? もう選挙民がそれを望んでいるんだからしかたないと、さすがの私も怒るよりもあきれるしかない。どんな結果であろうと、それはそれで結構。ただ、日本の現状は、我々の選択へのしっぺ返しなわけだからね。何も考えずに動いたか、考えてから動いたか。それが今回の選挙結果なんだ。
◆プロフィール みのもんた 1979年に文化放送を退社後、フリーアナとなる。以後、数々の番組で司会、キャスターを務める。1週間で最も生番組に出演する司会者のギネス記録保持者でもある。