階段を上った時に突然、胸に締めつけられるような痛みを感じたら––。それは「狭心症」かもしれない。
心臓の冠動脈が詰まって狭くなり、十分な酸素や栄養分が届かなくなる病気。心臓に血液を送る冠動脈が狭窄することで、一時的に心臓に十分な酸素が行き渡らなくなり、虚血状態となることで発症する。
軽い運動をしただけで胸の痛みや圧迫感が数分間続く、安静にしても痛みが治まらない、睡眠中や寝起きに痛みを発症した場合は「狭心症」の可能性があるため、すぐに循環器内科の受診が必要だ。
「狭心症」は、心筋梗塞と合わせて「虚血性心疾患」と呼ばれ、いずれも冠動脈に障害が起きて発症する。
「狭心症」は、冠動脈が狭まってはいるが、いくらかは血流がある状態。一方、心筋梗塞は冠動脈が塞がり、血流が完全になくなってしまった状態を指す。血管が塞がってしまうと、酸素と栄養分が来ないため、詰まった先の心筋が壊死してしまう。
症状の見分け方は「狭心症」は、胸の痛みや圧迫感が数分から長くて15分程度と一時的だが、心筋梗塞は30分以上胸の痛みが継続し、安静にしていても治まらない。
「狭心症」の主な原因は動脈硬化だ。高血圧や脂質異常症、糖尿病などが危険因子だ。そのため、予防には、生活習慣の改善が効果的。具体的には、適度な運動や塩分控えめの食事、アルコールやコレステロールの制限、禁煙対策が必要だ。健康診断で生活習慣病の指摘がある場合には、栄養士に指導をお願いするのもオススメだ。
他にも、こまめに血圧を計測する習慣をつけて、130/80mmHg以下程度の状態をキープできているかセルフチェックも心がけてほしい。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。