今年1月31日、カナダの公営放送CBCが驚くべきニュースを伝えた。ニューファンドランド島の南西海岸に位置する海岸に1月20日朝、突如として巨大な難破船が出現していたというのである。
報道によれば、難破船は全長約24メートル。木で作られた帆船と思われ、海鳥の狩りに出かけた地元住民が、水に浸かった巨大な黒い影を発見。その後の調査により、難破船であることが確認されたという。
実はこの海域は、2022年秋の熱帯性暴風雨の直撃で甚大な被害を受けたのだが、
「それが要因で、ここに流されてきたのではないかと推測されているようです」
と話すのは、世界の船舶事情に通じるジャーナリストだ。
ただ、いつどこで沈没したのかがわからず、それなりの年月が経過しているため、破損個所が多かった。おそらくは19世紀に造られた巨大船だったのではないか、とみられているが…。
引き潮時にしか沈没場所には近づけないため、調査は難航。調査チームの中からは、船がどこかに流されてしまうのではないか、と不安視する声も上がっているという。
この巨大な帆船がいつどこで海に沈んだのかの解明は、今後の調査を待つことになるが、実は世界には幽霊船とされる船舶は多い。1921年に米ノースカロライナ州のハッテラス岬沖で座礁した姿で見つかったキャロル・ディアリング号も、発見時に乗員がひとりも乗っていなかった「謎の船」として語り継がれている。先のジャーナリストが言う。
「この船は1919年に貨物船として建造されたもので、1年ほどは何事もなく運用されており、翌2020年にブラジルのリオデジャネイロを目指して出港。その後、西インド諸島のバルバドスを経て帰国途中の2021年1月に、ノースカロライナ州南東部のルックアウト岬沖での目撃を最後に消息不明となりました。3日後、同州ハッテラス岬沖で座礁した姿で発見されたことで、当時は大ニュースになったようです」
不思議なことに、座礁した船からは船長以下、乗組員全員が姿を消しており、さらに航海日誌と航海道具、2隻のボートも消えていた。
原因については、ハリケーン説や海賊襲撃説、船員らによる暴動など、様々な説が取り沙汰されたが、真相は不明のまま。
「そのため、バミューダトライアングルと呼ばれる魔の海域を航行したため、乗組員が失踪したのではないか、と力説する研究者も出てきた。今もって、謎の海難事故として語り継がれているのです」(前出・ジャーナリスト)
キャロル・ディアリング号の座礁事故から100年以上が経過する中で起こった今回の騒動に、カナダの小さな漁村が大きく揺れている。
(ジョン・ドゥ)