東京都江東区長選をめぐる公選法違反(買収など)の罪で起訴された元法務副大臣の柿沢未途被告(自民党離党)の辞職に伴い、衆院東京15区補欠選挙(4月16日告示、28日投開票)が実施される。
これに野党第一党の立憲民主党が苦悶しているという。党内には独自候補の擁立を求める声があるものの、国民民主党からは、すでに擁立した候補への協力を求められている。立憲は2月4日の党大会で採択した2024年度の活動計画で、次期衆院選で政権交代を目指す方針を3年ぶりに明記したものの、候補者調整につまずけば、いきなり暗雲が垂れ込めかねない情勢だ。
立憲内で候補として挙がっているのは、昨年12月に行われた江東区長選に立候補した前江東区議の酒井菜摘氏。この選挙では共産党や社民党、れいわ新選組など野党各党と市民団体、地域政党が区長選では初めて連携して、酒井氏を支持した。このつながりを衆院補選でも生かそうという案だ。
ただ、立憲内では「酒井氏では知名度に欠け、勝てない」(中堅議員)として、実家が江東区東陽町で居酒屋を経営する須藤元気参院議員を推す声もある。須藤氏は地元で生まれ育ち、実家は須藤氏がリーダーを務めていたパフォーマンスグループ「WORLD ORDER」のロケでも使われたことがある。
ところが、これにも問題が浮上した。須藤氏は2020年の参院選でれいわ新選組の山本太郎氏を推したいとして、立憲民主党の比例代表で当選したにもかかわらず、離党を表明した。立憲内には須藤氏に不快感を持つ議員も少なくない上、須藤氏では国民民主党との候補者一本化はとても期待できない。
その国民民主党はすでに会社員の高橋茉莉氏を擁立すると発表しており、立憲に共闘を呼び掛けている。
立憲民主党の岡田克也幹事長は2月11日放送のBSテレ東の番組で「もう一回、大きな塊を目指したい」と述べ、国民民主党との合流を支持する考えを示したが、調整は難航しそうだ。
日本維新の会は前回衆院選にも立候補した支部長の金澤ゆい氏が、すでに活動を展開している。自民党は所属していた秋元司元衆院議員がカジノ汚職で実刑判決を受けたのに続き、柿沢氏が公選法違反で逮捕・起訴されたため、独自候補の擁立は困難とみられている。
(田中紘二/政治ジャーナリスト)