もしドナルド・トランプ氏が米大統領に返り咲いたら、岸田文雄総理はトランプ氏と互角に渡り合えるか――。
2月11日の「日曜報道 THE PRIME」(フジテレビ系)で、こんなアンケート結果が示された。約3万1000人が回答し、「渡り合えると思う4%、思わない91%」という結果だった。
トランプ氏が米大統領選共和党予備選で勝利が確実となったことを受けて、「もしトラ」(もしトランプ氏が米大統領に返り咲いたら)という言葉があちこちで聞かれるが、圧倒的多くの回答者が岸田総理ではトランプ氏に対応できないと感じていることが、浮き彫りになった。
最近では「もしトラ」だけでなく、「ほぼトラ」(ほぼトランプ氏の勝利)などの言葉も飛び出している。それだけ11月の米大統領選でトランプ氏が勝利する可能性が大きくなってきているのだ。
そのトランプ氏は2月10日に南部サウスカロライナ州で開いた集会で、大統領在任中の出来事を明かしている。
北大西洋条約機構(NATO)加盟国の首脳から「軍事費を十分に負担していない加盟国がロシアからの攻撃を受けたら、アメリカは防衛しないのか」という質問をされた。これについてトランプ氏は「防衛しない。むしろロシアに対して望むようにするよう促すと答えた」と述べたのだ。
トランプ流のレトリックだろうが、バイデン政権やNATOストルテンベルグ事務総長らが、この発言に反発した。
NATOを日本に置き換えることもできる。トランプ氏は日本がアメリカに防衛を依存していることをたびたび批判していた。「日曜報道」に出演した自民党の甘利明元幹事長は、次のようにコメントした。
「前回の時はトランプさんをうまくなだめて『ドナルド、これがあなたにとってもプラスだ』と誘導でき、G7(先進7カ国)と結ぶことができた政治家がいた。それは安倍(晋三元総理)さんしかできない。この人がいないということが西側にとってどれくらいのダメージか、これから考えないといけない」
甘利氏は安倍元総理亡き今の処方箋についても、
「経験値を持っている安倍スタッフ、安倍チームがありますから、その安倍チームを官邸のスタッフに構えるというのが、今考えられる一番の策だと思います」
いくら優秀なスタッフを揃えても、問題は指導者だ。岸田総理に限らず「ポスト岸田」で名前が出ている誰もがトランプ氏とは渡り合えない、との懸念が広がっている。
(喜多長夫/政治ジャーナリスト)