米アラバマ州にあるハンツビルという街に「デッド・チルドレンズ・プレイグラウンド」、つまり「死んだ子供の遊び場」と呼ばれる小さな公園がある。
この公園はアラバマで最も古くて最大とされるメープルヒル墓地の端に位置し、ブランコやジャングルジムなどシンプルな遊具のみが置かれている。まるで古いブナの木の中に隠されるように存在する、静かな場所だ。
公園の正式名称は「ドロストパーク」。いつの頃からか、地元では「デッド・チルドレンズ・プレイグラウンド」と呼ばれるようになったが、墓地の端という立地条件もあってか、その名の通り、夜な夜なブランコが揺れ、きしむ音が響いたり、誰もいない暗闇の中で、幼い子供たちの笑い声が聞こえたり、という逸話が後を絶たない。中には墓地に埋葬された子供が墓から出てきて遊んでいる姿を見た、との証言もあるという。
メープルヒル墓地は1822年頃、この地に2エーカー(8000平方メートル)ほどで造られた。その後、徐々に面積が拡大していき、現在では100エーカー(40万平方メートル)の敷地に、8万人を超える死者が埋葬されているという。心霊研究家が言う。
「敷地が拡大したのは南北戦争勃発後のことです。この墓地が南軍の埋葬地になったといわれていますが、混乱の最中とあって、埋葬された兵士や連合兵士の数は定かではありません。ですから当然、名前すらわからない人もいて、誰がどの墓に入っているのかも不明なのだと。そういう意味では、自分の居場所を求めて彷徨う霊がウヨウヨしているとしても、なんら不思議ではないのです」
そんないわくつきの墓地の端に、なぜ子供が遊ぶ公園を建設したのかはわからないが、案の定、この公園にも恐ろしい伝説があった。
実は1960年代にこの地域で子供の誘拐殺人事件が多発し、殺害された子供の遺体の多くが、この公園の周辺から見つかったとされるのだ。いずれも残忍な手口で殺害されおり、容疑者はこの丘陵地帯にある廃坑に住んでいた人物とされた。
ところが決定的証拠に結びつく手がかりを得られず、事件は未解決のままだという。
「地元の人々は、おそらくは殺された子供たちが夜になって現れ、仲良く遊んでいるのではないか、と噂しています。全米で最も幽霊が出る公園として有名になったことで、肝試しに訪れる観光客があとを絶たないようです」(前出・心霊研究家)
子供たちの幽霊目撃談が多い時間帯は、夜10時から深夜3時頃までだというが…。
(ジョン・ドゥ)