立憲民主党は民主党時代から「ブーメラン政党」と言われてきた。政府・自民党を追及していたつもりが、その批判が自らに跳ね返ってきたことが、しばしばあったからだ。今回もその「伝統」を、しっかりと引き継いでいるようで…。
立憲民主党の梅谷守衆院議員(新潟6区)が、地元の新潟県上越市の町内会などに日本酒を配ったことが2月19日、地元紙「新潟日報(電子版)」で報じられた。もちろん、選挙区内での寄付行為を禁止する公職選挙法に違反する行為であり、梅谷氏は「新潟日報」の取材に対し「軽率だった」と釈明した。
梅谷氏は今年1月、町内会などが開いた複数のイベントに参加した際、主催者に日本酒を配るなどした。梅谷氏本人が日本酒を渡す場面がしっかりと動画撮影されており、言い逃れできなかったようだ。
梅谷氏は2月15日の衆院予算委員会で、盛山正仁文部科学相に対して、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体が任命する「平和大使」に在任し続けているとして「大臣は平和大使ですか」と追及したばかり。盛山氏は「平和大使といわれても困る」と応じなかったが、梅谷氏は引き下がらなかった。
立憲民主党は自民党の派閥パーティー収入不記載問題で、野党の先頭に立って自民党を追及している立場であり、梅谷氏の行為は「軽率」では済まされない。仮に議員辞職に追い込まれた場合、4月に補欠選挙が行われる。
4月28日投開票の補選は衆院東京15区、島根1区、長崎3区がすでに決まっているが、
「どれも(自民党にとっては)大変厳しい戦い」(小渕優子選対委員長)
となっている。ここに立憲の不祥事で新潟6区が加われば、その後の政局にも影響を与えることになりそうだ。
(奈良原徹/政治ジャーナリスト)