先の台湾遠征の大成功で、巨人が「パンドラの箱」を開けるかもしれない。
巨人は宮崎、沖縄での春季キャンプを打ち上げた後、那覇から台北に移動。3月2日と3日に親善試合を2試合行い、4日に帰国した。試合は中信ブラザーズに4-1で勝ち、楽天モンキーズには0-0で引き分けたが、興行的には大成功で終わった。
これに気をよくした親会社の読売新聞などは、さらなる台湾市場への参入を模索し始めているという。スポーツ紙遊軍記者が現在の状況を明かす。
「かつては球界の盟主と呼ばれた巨人も近年はV逸が続き、観客動員は阪神に押されっ放し。このままなら、ジリ貧になっていくのは間違いありません。台湾は野球熱が高い国だし、巨人とは太いパイプがある。将来的には台湾でも公式戦を定期的にやる可能性はありますよ」
メジャーリーグも今季の開幕戦を韓国で行うなど、アジア市場開拓に本腰を入れ始めている。巨人としても、先を越されるわけにはいかない。
巨人では読売のドン、渡辺恒雄氏が球界内で自らの意見を通すため、リーグ再編構想を口にした過去がある。この時のプランのひとつが、台湾などを巻き込んだアジアリーグ構想だったと言われている。当時を知る球界関係者も、
「不人気の球団を切ってセ、パの2リーグ制をやめ、1リーグにする話が出たはずですが、脱退して新リーグを設立する案もあった。その新リーグに台湾のチームを加えようとしていたわけです」
結局、曲折の末に現体制が維持されたわけだが、いわば「パンドラの箱」のようなものだった。だが、国内の有力選手がこぞってメジャーリーグを目指す現状に、手をこまねいてはいられない。いつ巨人が先陣を切って過去の構想を持ち出すのかわからないが、リスクも大きい。
「確かにサッカーのチャンピオンズ・リーグのような国境を越えたリーグができれば、野球の発展にはなります。とはいえ、台湾や韓国とはリーグのレベルが異なるし、年俸の格差もある。他国リーグでは時折、八百長問題などが取り沙汰されており、現段階では難しいと思いますけどね。慌ててパンドラの箱を開けることがないよう、祈るばかりです」(前出・遊軍記者)
今後の成り行きや、いかに。
(阿部勝彦)