北海道日本ハムファイターズで「世代抗争」が勃発した。6月20日のセパ交流戦・DeNA3回戦で、7試合ぶりのスタメン出場となった清宮幸太郎が同点2ランを放ち、存在感を誇示した。そのバックスクリーン右に飛び込む大飛球が放たれた時、三塁側の自軍ベンチ中央で両手を広げ、デ~ンと腰掛けていたのが、中田翔だった。
「中田は代打での途中出場でした。栗山英樹監督も、ペナントレースはまだ長いし、ちょっと休ませてやろうとしたんでしょう」(ベテラン記者)
清宮と中田は同じファーストでポジションがかぶる。清宮に関してはいえば、今年3月に右手有鈎骨を骨折し、実戦感覚も取り戻す間もなく、一軍昇格を果たした。猛打爆発とまではいかないが、それなりの結果を出している。
そうなると再燃してくるのは”アノ話”だ。
「中田は2017年シーズンにFA権を取得しましたが、行使せずに残留し、昨年オフに3年契約を交わしました。日ハムは高額年俸のベテランを容赦なく切るドライな一面もありますので」(前出・ベテラン記者)
また、6月12日には、吉田輝星が一軍デビューマウンドで「一発回答」を出した。ここまで先発ローテーションを守ってきた上沢の故障も重なり、打撃は清宮、投手は吉田と新しい風もチームに吹き始めた。確かに、中田の立場も危うくなってきているようだ。打つことに関しては、中田は貫禄十分だが…。
「清宮は守備がヘタと言われてきましたが、中田にはない武器があります。股関節の柔らかさですよ。相撲の股割りのように、送球をキャッチする時に、ベッタリと大腿部の内側が地面につくほど足を開いて捕球をしています。守っている内野陣は『1mは得をした』と、アウトになる確率が高くなったことを喜んでいます」(プロ野球解説者)
交流戦序盤では、ファールゾーンでスライディングキャッチを敢行するガッツも見せている。目下、各マスコミは夏の甲子園大会の取材準備で元高校球児にインタビュー取材を申し込んでいる。昨夏のヒーローである吉田に集中しているのは説明するまでもないが、それに続くのは、清宮。中田も通算本塁打の記録保持者だが、今年は素通りだ。輝星、清宮の2人によって、「中田、いらない」の声が再燃しつつあるのだ。
(スポーツライター・飯山満)