昨年10月からインボイス制度(適格請求書等保存方式)が導入されて、はや半年。裏金を作って脱税に精を出し、「記憶喪失」によって説明を拒むウハウハな国会議員に憤激しながらも、庶民は1円単位での煩雑な申告を強いられ、隅々までを国に把握される。
飲食店業界では大半が登録番号を取得しており、複雑かつ面倒な申告業務に悩むオーナーは多いだろう。だがとりわけ沖縄では、登録番号を取得しないことによるトラブルが発生し、会計時に揉めることがあるという。
飲食店が適格請求書発行事業者の登録を受けていない場合、接待にかかった費用のうちの消費税額分は、仕入税額控除の対象外となる。例えば出張客が使った場合、企業が支払う税負担が大きくなるのだ。そのため、出張客は税負担の増加を避けるため、登録していない店を避けたがる傾向にある。
だが、入店した時点ではインボイスに登録しているかどうかは、わかるはずもない。東京から沖縄に出張で来ていたサラリーマンが言うには、
「インボイス登録していない店は、あらかじめ店頭に書いておく義務を設けてほしい」
ちなみに沖縄のバーやスナックなどでは、クレジットカードが使えない「現金払いのみ」の店は多い。実はこれこそが、
「インボイス登録できないことと、深い関係がある」
と語るのは、地元の裏モノライターだ。続けて、
「インボイス制度に登録していない飲食店が多いのは、売り上げをごまかせなくなるからです。クレジットカード払いだと売り上げが明確になってしまい、実際の額よりも少なく申告できなくなってしまう。現金払いの場合は『調整」が可能です。ハナから納税するつもりがないんでしょうね」
つまりインボイス制度に登録することで、これまで曖昧にしていた売り上げが明るみに出て、納税対象となる恐れがあるからだ。裏モノライターが続ける。
「そういう店が今後、どうインボイスに対応していくかですよね。今はまだ負担軽減措置といって、登録番号を取得するための準備期間となっています。ただ、この先も登録しないようなら、客は減っていく一方、というおそれがある。沖縄には時間外営業だったり、風営法の許可証を取っているのかすら怪しい飲食店も少なくない。グレーな店が今後、どうなっていくかが気になります」
夜の店により金を落とすのは、観光客よりも出張客だという。裏金と脱税をうやむやにして逃げ切ろうとする国会議員こそ、インボイス登録の必須対象といえるが、一方でインボイス登録しない店は今後、一掃される運命を辿るのだろうか。