Jリーグは序盤の5節が終了。J1初昇格の町田ゼルビアの快進撃が注目されるが、逆にスタートからつまずいた下位4チームが気になる。
その4チームは、17位から東京ヴェルディ、ジュビロ磐田、サガン鳥栖、コンサドーレ札幌だ。
中でも東京Vは、選手の技術がしっかりしているし、運動量もある。経験豊富な城福監督の采配も悪くない。ただ、今だに勝ち星がない。開幕から3試合連続で試合終了間際に失点し、2敗1分。その後は逆に2試合連続で終了間際に追いつき、2引き分けと、なかなか勝ち切れない。
試合内容が悪くないのに、勝てない。そういう状況が続くと、選手は「また勝てない」と気持ちが後ろ向きになってしまう。
昨季はJ2最少失点だった守備も、全試合で失点して完封試合がない。だから早い段階で完封勝利を挙げ、勝ち点3を取れれば、チームは乗っていきそうな気がする。
ただ、パリ五輪アジア最終予選を兼ねたUー23アジア杯(4月16日~5月3日・カタール)に、ここまでフリーキックで2点を決めている山田楓喜、京都戦で2点を決めた染野唯月の2人が招集される可能性が高い。
チームの得点源である2人がいない試合を、どう乗り切って勝ち点を増やすことができるか。東京Vにとって大きなカギを握りそうだ。
もうひとつ気になるチームは、最下位の札幌。札幌といえば、ペトロヴィッチ監督の攻撃的サッカーだ。失点は多いが、得点も多い。ところが今季はここまで失点13で、得点はわずかに2。攻撃的サッカーは鳴りを潜めている。
その原因は昨夏、攻撃の中心だった金子拓郎がディナモ・ザグレブ(クロアチア)にレンタル移籍し、得点力が明らかに落ちたことにある。さらに右サイドから正確なクロスを供給していたルーカス・フェルナンデス、守備の中心だった田中駿太がC大阪に移籍。FWの小柏剛はFC東京に移籍した。さらにMFの福森晃斗も横浜FCに移籍と、中心選手がチームを離れ、その穴が埋まっていない。
攻撃力が低下したなら守備を修整すればいいのだが、ヴィッセル神戸戦ではマンツーマン・ディフェンスを徹底させて臨み、大迫勇也、武藤喜紀、宮代大聖を止められず大敗した(1-6)。1対1の場面で勝てないと、札幌のサッカーは成り立たない。ペトロビッチ・サッカーの限界だろう。
今季のJ1は下位3チームが自動降格。入れ替え戦は行われない。我慢するのか、早めに手を打つのか。補強も含めてフロントの決断が、残留か降格かのカギを握っている。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップアジア予選、アジアカップなど数多くの大会を取材してきた。