「2050年までにW杯で優勝」を掲げ、邁進する日本サッカー。2022年のカタール大会では強豪のドイツやスペインを破って、ベスト8まであと少しのところまでこぎつけ、目標は単なる夢物語ではなくなってきている。
ところが元ブラジル代表キャプテンで、監督を務めたこともあるドゥンガ氏が、この目標にダメ出ししている。
ドゥンガ氏は鈴木啓太氏のYouTubeチャンネルに出演し、日本が2050年までに優勝するのは厳しいかと聞かれて、
「私の考えは少し違う。2050年に優勝って、どういう選手がプレーして勝つんだ。今の代表メンバーで優勝する気でなければ、先のことなんてわからない。組織を成長させるのは大事だが、まずは次のW杯で優勝する、という選手のメンタリティーが必要。20年後のW杯優勝を目指したら、今の選手のモチベーションをどうやって保つのか。『今の僕らは優勝しなくてもいいのか』となるから、次の大会で優勝する意識を持たないといけない」
堂々とした正論で、バッサリと斬り捨てたのである。
ドゥンガ氏は1994年のアメリカ大会で、優勝を経験。W杯優勝に最も必要なものは何かという問いには、
「試合を読む力。ロシア大会のベルギー戦で、日本は2-0でリードしていたが、残り5分で逆転された。日本は冷静に試合をコントロールすべきだったが、攻め続けた。ベルギーを焦らせれば、余計なミスで自滅していたかもしれない」
選手としてだけでなく、監督としてブラジル代表を率いたドゥンガ氏。現在はフリーだが、日本代表監督の話があったらどうするのか。
「いつか機会が来たら考えるよ。今の監督がいるんだから、こういう話でプレッシャーをかけちゃいけないよ。彼をみんなでサポートしよう」
含みを持たせて苦笑いである。森保一監督にサラッと気を使ったのは、世界一厳しい立場だと言われるブラジル代表監督の経験からかもしれない。そんな気配り上手の「ドゥンガJAPAN」誕生が楽しみだ。
(鈴木誠)