「さすがに今季も最下位というわけにはいかない。まだ、シーズンは始まったばかりですが、4月のスタートダッシュに失敗すれば、立浪和義監督の進退問題に大きく影響するでしょう。すでに自薦他薦を含めて、次期監督候補の名前が取り沙汰されていますし」
こう話すのはスポーツ紙遊軍記者だが、3年連続最下位からの脱出を目指す中日ドラゴンズをめぐって、開幕直後だというのに、もうこんな話が噴出しているのだ。
これまで中日でのプレー経験を持たずに指揮を執ったのは森繁和氏ぐらいしかおらず、OBが基本だ。地元マスコミ関係者はその理由を、
「親会社の中日新聞の強い意向もあるからです。地元のスター選手には読者がついており、部数に直結する。その上、地元の政財界にも彼らのファンは多い。外様の監督では、なかなかそうはいかない」
現在、有力候補として挙がっているのが、OBで史上3人目のセ・パ両リーグ本塁打王に輝いた、山崎武司氏だという。前出の遊軍記者も、
「内部昇格なら和田一浩打撃コーチという声もありますが、立浪政権崩壊となれば、和田コーチも通常は無傷ではいられない。そうなると、元スラッガーの名前が浮上してくるのは間違いないところ。実績は申し分ないし、ネームバリューもある。親しみやすいキャラクターで、中日新聞社内で推す一派は多いですね」
自薦組では、前阪神監督の矢野燿大氏の存在が侮れないという。スポーツ紙デスクは「可能性はゼロではない」と口にし、こう続ける。
「世間では阪神の監督ラストイヤーでミソを付けたといわれているようですが、昨年の優勝は自分が育てた選手の活躍ゆえと思っている。育成には自信を持っていますから。それを古巣で改めて証明したい、ということでしょうね」
今シーズンはまだスタートしたばかり。今後どう転ぶかはわからない。立浪中日には次期監督候補の自薦・他薦組を落胆させるような快進撃を見せてもらいたい。
(阿部勝彦)