3月15日に55歳の誕生日を迎えた武豊が好調だ。3月24日終了時点で25勝を挙げ、全国リーディングで8位タイ。デビュー以来続くJRA重賞複数勝利も38年に更新し、JRA通算4500勝まであと10勝に迫っている。今もなおターフを沸かせるレジェンドの〝おいしい〞馬券術とは––。
全国リーディング1位(46勝)をひた走るルメール(44)が3月17日のスプリングSで今年初めて重賞を制したが、その2週前に重賞2勝目を挙げていたのが武豊だ。週刊アサヒ芸能連載でおなじみの伊吹雅也氏が話す。
「今年の勝率は20.2%で3着内率は41.1%(3月24日までのJRA)。直近15年はずっと年間の勝率が20%を下回り、トータルの3着内率も36.7%でしたから、好スタートと言えるでしょう」
その特徴の1つが、多頭数のレースで好走し、穴をあけていることだ。
「13頭立て以下のレースでは3着内率が35.2%(複勝回収率47%)ですけど、14頭立て以上になると3着内率が45.7%(同107%)にアップします。本来はネームバリューが突出しているレジェンドだけに期待値は低いはずなのですが、川田将雅騎手(38)とルメール騎手が確固たる地位を確立したことや、中堅どころの若手騎手たちの活躍もあってか、年明け以降、多頭数では人気の盲点になってしまうケースもあります」(伊吹氏)
例えば誕生日翌日の阪神では、6Rまでに騎乗機会3連勝を飾る中、16頭立ての10Rでは単勝9.7倍の5番人気ラキエータで2着したのだが、複勝は意外にも8番人気(410円)で配当妙味は十分だった。
「武豊で穴狙いというのは往時の存在感を知るファンとしては寂しい気もしますが、好走率などの重要な指標が落ち込んでいるわけではありません。世間の注目度だけが勝手に下がっているわけですから、馬券を買う側としてはむしろ喜ばしい状況。過小評価されてしまいがちなシチュエーションを積極的に狙ってみたいですね」(伊吹氏)
その好例が2月のフェブラリーS。13番人気(単勝48.2倍)のセキフウを3着に持ってきたのだが、これも〝シン武豊馬券〟の狙いどころの1つだった。
「初めてセキフウに騎乗した昨夏のエルムSも6番人気(単勝12.3倍)で制しているように、武豊騎手が弟の武幸四郎調教師の管理馬に騎乗した際、19年10月以降に限ると3着内率45.4%(同96%)の好成績を収めています。ちなみに、幸四郎師の通算成績を見ると、武豊騎手はジョッキー別の騎乗数、勝利数、連対数、3着内数でいずれも単独トップに君臨。主戦ジョッキーと位置づけているようです」(伊吹氏)
これまで幸四郎師は重賞を4回制しているのだが、うち3回が〝兄弟タッグ〟で挙げたもの。昨年1月のシンザン記念でもライトクオンタムを勝利に導き、桜花賞へと駒を進めた。スポーツ紙記者が振り返る。
「22年11月の新馬戦は鞍上ルメールで逃げて1着。その後は放牧に出さず、自厩舎で調教していました。ユタカさんの進言もあってか、2戦目は年明けの重賞を使うことになり、レースでは出遅れましたが、ディープインパクト産駒らしく最速の上がり脚を披露しての勝利でした」
幸四郎師との兄弟タッグは、今後も要注目だ。