ぺヤング(まるか食品)に続いて日清食品の「スパ王」と、大手メーカーで相次いだ虫混入騒動。インスタント食品はレアケースだが、外食で出された食品に黒光りした物体が‥‥と不快な思いをした人も少なくないだろう。「異物恐怖時代」の処方箋を識者に聞いてみた。
呑んべえ記者が、怒りの表情でまくしたてる。
「この前、居酒屋で枝豆を注文したら、枝豆の山の中からゴキブリが出てきたんだよ。それで店主にクレームを言ったらビール5本出してきて『これどうぞ』って言ったんだよ。それでタダかと思ったら、最後にお勘定取られて‥‥。何か腑に落ちないんだよな~」
誰もがこんな経験はないだろうか。虫に限らず、食事やアルコールから異物が出てくるケースは、枚挙にいとまがない。
国民生活センターには、ここ数年「外食」先で提供された食品に関わる苦情が年間で約350件ほど寄せられている。具体的事例をいくつか紹介すると‥‥。
【事例1】ファーストフードのチキンにたわしが混入していたため、歯が欠けた。
【事例2】飲食店のサラダに混入していたプラスチック片をかみ、前歯と奥歯を損傷した。
【事例3】喫茶店で食べたサンドイッチにガラス片が混入されていて舌を切ってしまった。
同センター商品テスト部主査の原田慶氏がこう話す。
「苦情・相談の中でも、異物混入に関する件数の多さが目立ちます。混入されていた異物が原因で、口の中や歯を痛めるなどの事故に至る例も多く、店側の混入防止の徹底不足と思われるケースも少なくありません」
実際、口や歯を損傷して病院で治療を受けた際の治療費がどうなるか、客側にとっては気になるところだろう。寄せられる相談の中にも「治療費を出してもらえるだろうか」という内容が多々あるという。原田氏によると、大抵の場合、店側が治療費負担に応じているという。
「その際に大事なのは、その場で混入の事実を従業員と一緒に確認することです。口の中に入ってしまったものでも『恥ずかしい』と思わずに取り出す。可能であればスマートフォンや携帯電話のカメラで写真を撮る。そのうえで病院に治療に行き、診断書をもらうなどして証拠を残すことも必要です」(原田氏)
ちなみに、歯の損傷の場合、保険が適用される銀歯なら負担するが、適用外となる白い人工歯にする場合は負担できない、と対応する店もあるから粘り強い交渉も必要だ。