ドジャース・大谷翔平の今季第1号にして、記念すべきドジャース初の一発をめぐり、球団とファンの間でトラブルが起きていた。
右中間中段に着弾したホームランボールをゲットしたのは、夫と観戦していた女性ファン。大谷は試合後の囲み取材で、ボールについて、
「戻ってファンの人と話して、いただけるということだったので。僕にとってはすごく特別なボールなので、ありがたい」
そう感謝の言葉を述べたのだが、コトはそう簡単にいくものではなかった。
現地メディアの報道によれば、女性は警備員に呼ばれてボールの受け渡しを要求されたが、警備員の態度は非常に威圧的だったという。彼女は夫と引き離された状態で「もしボールを持ち帰るなら、ボールが本物であるという認証を拒否する」と圧力をかけられ、ボールを返却せざるをえなかったという。
スポーツオークション関係者が言うには、大谷のドジャース移籍後初のホームランボールの価値は、少なく見積もっても10万ドル(約1500万円)。記念球を球団に引き渡し、彼女は引き換えにサイン入り帽子2つとサイン入りバットとボールを受け取って球場をあとにしたというが、それらの価値は合計50万円から60万円程度だ。はたして記念球を引き渡した見返りとして適当なのかどうか、意見が分かれるところなのである。
球団の高圧的な態度に女性は、次のようにコメント。
「大切にしているチームが、私たちに対して決断を迫ってきたことに失望している」
球団の対応を批判する声は、現地で大きくなっていった。スポーツ紙デスクが言う。
「大谷は『ファンの人と話して』とコメントしていますが、別に大谷本人がファンと会って話したわけではありません。もし大谷自身が対応してグッズにサインしていたら、彼女を失望させることもなかったのでは」
批判が高まることを懸念したのだろうか、その後、球団は女性に「和解」のオファーを出す。夫妻をドジャースタジアムのグラウンドに招待することを公表したのだ。さらに1階席のチケットもプレゼントという配慮に、
「オオタニだけでなく、選手全員に会える機会をもらえて感謝しています」
と女性は喜んだ。
ドジャースは、ファンがゲットした記念球を返却してもらうための交渉方法を、再検討するという。見返りに「プライスレスな特典」をあげてほしいものだ。
(石見剣)