台湾東部沖で発生した4月3日の大地震の影響で、津波警報が発表された沖縄県内では車による避難で起きた大渋滞や、外国人観光客に向けた避難対策など、新たな課題が浮かび上がった。気象庁は今後も同程度の地震への注意を呼び掛けたが、沖縄県在住の女性は、
「他の人の防犯意識があまりにも低すぎて不安です」
と顔を曇らせる。
「津波警報が発令されてすぐ、マンションの屋上に避難しようとしました。うちは小さい子供が3人いて、夫は仕事中だったので、高台に逃げていたらとても間に合わないと思ったんです。ところがマンションの非常階段には鍵がかけられていて、使えませんでした。すぐに管理人の部屋へ向かいましたが、留守だった。仕方なく子供たちを車に乗せて小学校へ避難しましたが、小学校の前は大渋滞。交通誘導もなかったので、子供たちを車から降ろして中に入りました」
幸いにして津波は避難先の小学校には到達せず、車も無事だった。その後、警報が解除されてから自宅に戻ると、管理人から信じられない言葉を聞かされたという。この女性がアキレ返りながら続ける。
「今後1週間は余震が続くとニュースで言っていたので、非常階段の鍵を開けておいてほしい、と言ったんです。すると管理人は『もう津波は来ないから大丈夫。あなた心配性ね』と言うんです。しかもマンションに備え付けの警報機は古くなっていて、音が出ませんでした。さらに驚いたのは、隣でひとり暮らしをしているお爺さんが、津波が起こったことすら知らなかったという…。街中やテレビでは何事もなかったように日常に戻っているし、玉城デニー県知事は何のコメントも出さないし、注意喚起もない。影響力のある人が発信しないと、県民の意識は変わらないと思いますけどね」
楽観性の高さは沖縄県民のいい部分でもある。しかし、災害における意識は「なんくるないさ~」では済まされない。課題は山積みだが、政府や地元メディアが緊急時のマニュアルを作成するなどの注意喚起を行い、県民一人ひとりの意識を変えていくべきだろう。