衆院の3小選挙区補欠選挙で全敗した自民党。態勢立て直しが急務となっている中、総裁である岸田文雄首相は5月1日から6日までフランス、ブラジル、パラグアイの3カ国を訪問する。自民党内では補選の結果を受けて、9月の総裁選で岸田首相の再選を望まない議員が激増しており、この3カ国訪問には、
「卒業旅行ではないか」(閣僚経験者)
との声が出ている。
岸田首相は2月2日と3日にパリで開かれる、経済協力開発機構(OECE)閣僚理事会に出席する。ここで日本は10年ぶりに議長国を務める。
その後、岸田首相は1月に訪問を検討しながら見送ったブラジルを訪れる。ブラジルは今年の20カ国・地域(G20)議長国であり、日本が連携を強めようとしている「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国の中で、大きな役割を果たしている。
ここまではいいとして、自民党内で疑問視されているのが、ブラジルの隣国パラグアイ訪問だ。
「なぜパラグアイなのか。南米に行くなら、ブラジルの次はアルゼンチンなどのG20参加国ではないのか」
前出の閣僚経験者は、そう言って首をかしげるのだった。
パラグアイ訪問は、岸田首相の強い意向だという。パラグアイには岸田首相の地元・広島県からの移住者が多く、広島県福山市を中心に集団移住した歴史がある。今でも現地では広島弁を話す人が残っているのだ。
他の県はともかく、広島県で大きく報じられるのは確実だ。前出の閣僚経験者は、
「まさか自分の選挙運動の一環ではないだろうね」
と皮肉るのだった。