国民民主党の玉木雄一郎代表というと財務省出身で、政策立案もそれを説明する能力もピカイチである反面、政局での振る舞いは説明能力に比べると段違いに劣っている。
4月28日投開票の衆院東京15区補欠選挙では独自候補の擁立を目指したが、候補者に「過去に法令違反の可能性がある行為があった」として、公認取り消しに追い込まれた。
続いて、小池百合子東京都知事が擁立を主導した無所属新人の乙武洋匡氏を推薦したものの、立憲民主党の候補に敗れた。乙武氏は初陣だった日本保守党の飯山陽候補にも及ばず、5位という惨敗だった。
「政権に対する批判票の十分な受け皿になれなかったことは、真摯に反省しなければいけない」
4月28日に浜野喜史選対委員長がそう述べたのもつかの間、玉木氏は5月6日に記者団に対し、15区で対立したはずの立憲民主党との小選挙区候補の調整に前向きな姿勢を示したのだった。
玉木氏はこれまで、立憲民主党と政権を担う可能性について次のように主張し、否定的な考えを示してきた。
「内閣を構成するなら、基本となる政策、安全保障やエネルギー、憲法で一致しないとバラバラになる。現在の立憲民主党がそれを満たしているかというと満たしておらず、人によって言うことが違う」
むしろ、ガソリン税の上乗せ部分の課税を停止する「トリガー条項」をめぐって、与党側との連携に積極的だったほどだ。与党との協議が頓挫していることもあるが、あまりの無節操さに、自民党閣僚経験者からは「政策一流、政局三流」とのレッテルを貼られる有様なのである。
(奈良原徹/政治ジャーナリスト)