スポーツ

世界の福本豊<プロ野球“足攻爆談!”>「絶不調オリックスの大きな問題点」

 リーグ4連覇を狙うオリックスのエンジンがなかなか掛からない。小久保新監督が率いるソフトバンクに大きく引き離された。エースの山本由伸がドジャースに移籍した影響というよりも、予想以上の貧打に苦しんでいる。30試合を終えた時点で7度の完封負け。打つべき人が打っていないどころか、1軍にもおらんのやから話にならない。

 各打者の調子が上がってこないのは、中嶋監督が打線をコロコロ動かしすぎの影響もある。ラオウこと杉本なんて、開幕6試合目でスタメンを外され、5月1日には2軍に落とされた。3年前のホームラン王。阪神の佐藤輝と同じで、試合に出し続けていたら20本塁打は打てる打者。打率は低くても相手は怖がってくれるし、ある程度はベンチが我慢して使うことが必要になる。

 確かにリーグ3連覇した去年までも猫の目打線で勝っていた。データや相性、調子などを考慮して決めてるんやと思う。だけど、負け始めると、そういう打線の組み方では調子の立て直しが難しい。もともと野球は打者が7割の確率で失敗するスポーツなんやから。打てなかったら次の試合でタイミングを変えてみたり、スイングを微調整したりして臨むもの。それが試合前に「今日は休み」と言われたり、4番を打った翌日にいきなり8番と言われたら、落ち着いて野球ができん。

広島からFAで加入した西川龍馬も自分の役割を把握できてないかもしれん。天才的なバットコントロールを持つ打者が打率2割に届くかどうかなんて考えられない。打線というのは、それぞれ役割がある。中日の応援歌「燃えよドラゴンズ!」にあるように、1番〇〇が塁に出て、2番〇〇が送りバント、3番〇〇がタイムリー、4番〇〇がホームラン。打順がコロコロ変更されたらこの歌詞も成立しない。西川の役目はチャンスメイクなのか、ランナーをかえす方なのか、しっかり定めた方がいい。

 僕は高い給料を払っているんやから、西川は3番で固定すべきやと思う。クリーンアップが打たなければ野球は負け。それぐらいの責任を負わせた方がいい。オリックスと対照的に、ソフトバンクは柳田、山川、近藤のクリーンアップが開幕30試合、まったく動かなかった。山川、近藤の移籍組に負けじと、柳田も今年は元気に試合に出続けている。チームの顔としては当たり前のことやけど、それ絶不調オリックスの大きな問題点ができない選手が多い。クリーンアップだけでなく、昨季までは試合に出たり出なかったりの周東も1番に固定されて、コンスタントに打って、順調に盗塁を積み重ねている。小久保監督がどっしり構えて戦っているから、チーム全体に落ち着きがある。

 それと、ソフトバンクの戦いを見ていると、勝利に飢えている感じがする。長年、パ・リーグの王者として君臨していたけど、この3年間はオリックスに優勝をさらわれた。サヨナラ勝ちの瞬間など、ベンチ全員が本当にうれしそうにしている。FAで西武から山川を獲得して、今年は何が何でも勝たなアカンという雰囲気がある。

 ソフトバンクは今の戦い方を続けていたら、急にガタガタになることはない。オリックスがまくるには相当、頑張らないとアカン。そのためにはまず、それぞれの役目を明確にして、責任の所在をはっきりさせることが必要やと思う。

福本豊(ふくもと・ゆたか):1968年に阪急に入団し、通算2543安打、1065盗塁。引退後はオリックスと阪神で打撃コチ、2軍監督などを歴任。2002年、野球殿堂入り。現在はサンテレビ、ABCラジオ、スポーツ報知で解説。

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    なぜここまで差がついた!? V6・井ノ原快彦がTOKIO・国分太一に下剋上!

    33788

    昨年末のスポーツニュース番組「すぽると!」(フジテレビ系)降板に続いて、朝の情報番組「いっぷく!」(TBS系)も打ち切り決定となったTOKIOの国分太一。今月30日からは同枠で「白熱ライブ ビビット」の総合司会を務めることになり、心機一転再…

    カテゴリー: 芸能|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<寒暖差アレルギー>花粉症との違いは?自律神経の乱れが原因

    332686

    風邪でもないのに、くしゃみ、鼻水が出る‥‥それは花粉症ではなく「寒暖差アレルギー」かもしれない。これは約7度以上の気温差が刺激となって引き起こされるアレルギー症状。「アレルギー」の名は付くが、花粉やハウスダスト、食品など特定のアレルゲンが引…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<花粉症>効果が出るのは1~2週間後 早めにステロイド点鼻薬を!

    332096

    花粉の季節が近づいてきた。今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は全国的に要注意レベルとなることが予測されている。「花粉症」は、花粉の飛散が本格的に始まる前に対策を打ち、症状の緩和に努めることがポイントだ。というのも、薬の効果が出始めるまでには一定…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
エスコンフィールドに「駐車場確保が無理すぎる」新たな問題発覚!試合以外のイベントでも恨み節
2
これも「ラヴィット!」効果…TBS田村真子アナ「中日×巨人で始球式」に続く「次に登板するアナウンサー」
3
日本人に大打撃!タイ政府「外国人締め出し」で長期滞在とビザ取得が困難に…そして口座凍結まで
4
ヤクルト・村上宗隆「上半身のコンディション不良」って何?「ポスティング移籍金」に影響するからと…
5
【NHK朝ドラ】今田美桜と河合優実の「見事なあんぱん」が弾む出色CMがコレだ!