大リーグ、シカゴ・カブスの今永昇太が旋風を巻き起こしている。9先発で5勝0敗、防御率0.84となり、ナショナル・リーグのサイ・ヤング賞候補に挙げられているのだ。
本拠地での5月19日のパイレーツ戦では7回まで4安打1四球7三振で、無失点の快投を見せた。現地メディアの間では、4年総額5300万ドル(約77億円)で契約したカブスは安い買い物をした、との論調が広まっている。メジャー関係者が言う。
「リリースでのヒジの位置が低いのでボールに角度はありませんが、スピン量がズバ抜けています。ストレートの球速はそれほど速くないのに、質が高いため、メジャーリーガーでも空振りしてしまいます。チェンジアップやスライダー、スプリットも独特の軌道を描くので、初見の対戦では打てませんよ」
研究熱心な今永の別名は「投げる哲学者」。父親は中学校の教員で、校長まで務めたほどの人物だ。母親も音楽教師ということで、その資質を継いだようである。先のメジャー関係者は、
「WBCでのチームメイト大谷翔平やダルビッシュ有から、アメリカの生活習慣やマウンドの硬さ、ボールの特徴についての情報をもらって分析しました。完璧主義なところがあり、通訳をほとんどつけずに自分でコミュニケーションをとるようにしています。家では英語を流しっぱなしにするスピードラーニングを実行しています。すでに英語力は大谷に負けないほどになっていますね」
アメリカという新たな環境で戦い、尽力している今永は、まだまだ進化していくことだろう。
(渡辺優)