海外組に目を移すと、メジャー11年目を迎えるダルビッシュ有(36)=パドレス=は前半戦を6勝6敗。後半戦に入った7月25日にも勝ち星をあげ、日米通算200勝まであと5勝に迫っている。
「WBCの決勝を終えた翌日、マイナー相手に5回ほど投げるなど、日本人選手とは異なり、うまく調整できたね」(江本氏)
侍JAPANのリードオフマンとして大活躍したラーズ・ヌートバー(25)=カージナルス=は、今年がメジャー3年目。過去2年間は2割3分前後だった打率を2割5分9厘まで上昇させている。
「最初はなんで彼を選んだのか、と思った(笑)。WBCでものすごくいい経験ができたことが活躍のバネになっているのでしょう」
伊原氏は、後半戦の活躍も期待できると太鼓判を押す。
今季からメジャー入りした吉田正尚(30)=レッドソックス=は、MLB移籍1年目という大事な時期にもかかわらず、栗山英樹監督(62)に「WBCは僕の夢です!」と直訴して出場。4番打者として大会最高の13打点を挙げた。
前半戦の成績は打率3割1分6厘でア・リーグ3位。後半戦に入った7月26日には3割2分0厘に上昇させて首位打者に浮上している。伊原氏はいい意味で期待を裏切られたようで「これほどの活躍は想定外」としてこう続ける。
「身長は公称172センチだけど、たぶん、そこまでないんじゃないかなぁ(笑)。小さい体なのに打撃技術はものすごい。イチロー(49)がメジャー入りした時は、たぶん3割は打つだろうと思いましたが、正直、吉田がここまで活躍するとは思いませんでした。体を鍛えている証しですね」
大谷翔平(29)=エンゼルス=の投打にわたる大活躍ぶりは周知のとおりだろう。前半戦は投手として7勝5敗、防御率3.50はチームトップ。打者として75打点はリーグ2位、打率3割0分6厘は同5位。トップに君臨する本塁打35本は2位に7本差をつけて折り返した。
江本氏は「大谷は評論しない」と苦笑いしつつ、次のように分析する。
「打撃は手がつけられないね。ノーステップ打法に変えたら、まるで“獲物を待つ”打ち方になって成績が上がった」
一方の伊原氏も「話すことはないです(笑)」としながらも、過去のエピソードを打ち明ける。
「私が西武監督だった14年5月13日、函館オーシャンスタジアムに球場入りすると、センターからホームに向けてすごい風が吹いていた。嫌な予感がしたとおり、その試合で大谷にプロ初完封を許しました。日本にいた頃はケガもしていましたけど、メジャーに行ってこれだけ成績を伸ばすとは驚きのひと言。スゴいことですよ」
後半戦に入った7月28日にはメジャー初完封で9勝目をあげ、2位に10本差をつける38号を放った大谷。このペースでいけば2年連続となる2桁勝利は間違いなく、50本以上の本塁打も現実味を帯びてくる。
まるで王貞治(83)と江夏豊(75)が同居している異次元のプレーヤーはもちろん、後半戦も侍戦士たちから目が離せない。