2015年の連ドラの先陣を切ってスタートしたNHK大河ドラマ「花燃ゆ」。日曜の夜に、袴姿で颯爽と駆ける大沢たかおを見るや、思わず「あれ、『JIN-仁-』やってる?」と首をかしげた人も多かったのでは。黒々としたオシャレな総髪もまた、かつての南方先生を彷彿とさせる要因だったかもしれない。
振り返れば08年の「篤姫」以降、大河ドラマにはほぼ2年に一度、“幕末”が到来。おかげで登場する歴史上の人物も、それを演じる役者もカブリまくりで、幕末時代劇ファンであればあるほど、「花燃ゆ」には妙な“デジャブ”と“混乱”を感じているようだ。そんな“幕末ドラマ好き女子”たちの困惑の声を拾ってみた。
まずは、ヒロイン・文(井上真央)の兄・吉田松陰を演じる伊勢谷友介について。
「第一話では主役のようにクローズアップされていましたね。でも、伊勢谷は『龍馬伝』の高杉晋作役で魅せた風雲児ぶりの印象が強く、今回も同じ長州藩の話ということもあって雰囲気モロかぶり。強いて言えば、高杉役のときにはなかったチョンマゲが今回はあったことが新鮮かな」(32歳・一般事務)
幕末ものの登場人物の常連としておなじみの吉田松陰だが、その人物設定にも戸惑いを隠せないようだ。
「『龍馬伝』で生瀬勝久が演じた松蔭はテンションが高くてキテレツな印象。『八重の桜』で小栗旬が演じた松蔭は飄々、そして伊勢谷の松陰は爽やか熱血系。同じ歴史上の人物なのにこうもキャラ設定が違うと、実際の吉田松陰のイメージが掴みづらい」(30歳・サービス業)
一方、文は歴史的には無名ゆえ、過去の誰ともカブリなし。ただ、井上真央主演の朝ドラ「おひさま」の記憶がまだ新しいせいか、「文と結婚する相手が久坂玄瑞(東出昌大)ではなく、朝ドラで夫婦役だった高良健吾(高杉晋作役)のような気がしてしまう」(29歳・販売)という声も。
ちなみに、東出昌大は大河ドラマ初出演なのに、「また東出か‥‥」と感じている人も意外なほどいるよう。NHKドラマで人気者になると、そんな思わぬ余波があるのかもしれない。
さらに、第一話で文をボコボコにしていたスパルタ叔父、玉木文之進を演じる奥田瑛二には「八重の桜」の佐久間象山が、文の長兄を演じる原田泰造には「龍馬伝」の近藤勇や「篤姫」の大久保利通の影がチラついて‥‥。
アタマのなかで過去のドラマを一掃して観なきゃいけん‥‥かもしれない。