交流戦で最下位に苦しむ岡田阪神が、ついに決断を下した。
打率わずか1割9分9厘と、セ・リーグ打撃部門でブービーに沈む主砲・大山悠輔が2軍に降格したのだ。
6月4日の試合前、2人は秘かに会談。「本人も相当自信なくしてるから。どう打っていいか、わからん言うんやから」と、岡田監督は試合後に降格を言い渡したことを公表し、2人で交わした会話の内容も明かした。野球記者が話す。
「開幕から4番を任されてきた大山でしたが、6月1日のロッテ戦からは近本光司に4番の座を譲っていました。そして、4日の楽天戦ではついにベンチスタート。2点のリードを許した10回裏には代打の準備をしていましたが、その前に試合終了となり、連続試合出場の記録は途切れました」
当面、大山は2軍戦には出場せず、ミニキャンプを張り、コンディション面を作り直すという。
岡田監督が2軍に落としたのは大山だけではない。守護神のゲラも同様である。
ゲラは、開幕から岩崎優と2人でWストッパーを担ってきたが、5月26日の巨人戦から3試合連続失点と調子落ちしていたのは明らかだった。一方で、低調な打線のせいで僅差の場面での登板が続き、それが肉体面だけでなく、精神面の疲れを溜めてしまったと言われてはいるが…。
岡田監督は「このまま投げとっても、そらなあ。間隔空けんと、そら無理やろ。ベンチ置いとったらまた、使うようになるから」と、苦しい胸の内を吐露している。
守護神と主砲を同時に失うまさかの大ピンチ。では、昨年のチャンピオンチームを救う選手はいるのだろうか。前出の野球記者が顔をしかめて言う。
「大山の代役として名前が浮かぶのは、2軍で打撃状態が上向きの佐藤輝明です。ただ、すぐに1軍へ上げる予定はないようで、早くても交流戦明けでしょうね。また、ゲラに替わって守護神を任せられる投手は2軍には見当たりません。かつての守護神・湯浅京己はまだ本調子じゃないですから…」
ということは、代役や新星は現在のところ登場する可能性はないのだろうか。前出の野球記者は「代役とまでは言い切れないが…」と注釈を入れながら、2人の名前をあげてくれた。
「打者では2軍で打率3割台、長打率が4割2分を超えている豊田寛、投手では育成ながら5試合登板で2勝0敗で、三振の取れるマルティネスあたりの1軍昇格は考えられます」
どちらにせよ、本来の力を発揮できていない主力たちがよみがえらない限り、「アレンパ」の文字は死語ロードをばく進しそうだ。
(石見剣)