大谷翔平がメジャーリーグの「中心地」と化している今、花巻東高校の先輩でブルージェイズの菊池雄星が、シーズン後半の主役になるという。
菊池がパイレーツ戦に先発し、5敗目を喫したのは、現地時間6月1日だった。5回1/3を投げて被安打9、失点6。数字上は散々な結果だが、現地メディア関係者はこう反論する。
「いや、野手のいないところに小飛球が落ちるなど、運が悪かっただけ。今季の菊池自身の調子はむしろ、いいほうだと思います」
直近5試合の内容を振り返ってみると、味方打線が挙げた得点は全て2点以下。つまり、先発投手の評価指数であるQS(6回を投げて3点以下に抑える)を記録しても、勝利投手にはなれない状況にあった。現地ジャーナリストが解説する。
「パイレーツ戦の投球内容はともかく、今季の菊池は好調とみていいでしょう。他球団のスカウトや編成担当は、熱い視線を送っています」
ブルージェイズはア・リーグ東地区の最下位に沈んでいる。そのため、投打の主力選手を「シーズン途中に放出する」との見方があり、複数の球団が菊池獲得を狙っているというのだ。現地ジャーナリストが続ける。
「7月30日のトレード期限に向け、優勝争いから脱落したチームが主力選手を放出するのは、メジャーリーグの風物詩です。優勝争いをするチームからすれば、93マイル(150キロ)以上を投げる左腕は貴重です。菊池はマリナーズ時代にロングリリーフを経験しているので、リリーフ投手の補強を考えている上位チームも注視しています」
今季終了と同時に、菊池とブルージェイズとの「3年総額3600万ドル(約56億5000万円)」の契約は終了する。低迷するブルージェイズが大掛かりなチーム改革に着手するとなれば、昇給が確実な菊池の慰留にさほど多くの時間はかけられない。むしろシーズン途中で放出し、まだ年俸の低い「これからの選手数人」との交換トレードに応じる可能性はあろう。
「トレード期日が迫るにつれ、菊池への関心度はどんどん高まっていきます」(前出・現地ジャーナリスト)
勝ち星には恵まれていないが、優勝争いのキーマンになりうる存在なのである。
(飯山満)