後輩に対する過剰意識を持った雄星と大谷の直接対決について、記者は分析する。
「日本では投手を兼任する大谷への内角攻めは避けられてきましたが、実は大谷にとってインコースは弾丸ライナーでホームランを打てるスイートスポット。ひじを外側に抜く軟体動物のようなさばきは大谷にしかできないバッティングです。コントロールを間違えればホームランですから、意味のない内角攻めはできない。決して制球がよくない菊池にとっては難敵でしょう」
ソフトバンク戦で「クセを盗まれている」と疑心暗鬼に陥り、いいようにやられてしまった「ノミの心臓」も懸念される。
「雄星は気にすると、とことん過敏になってしまう。昨季は投球時の足の上げ方を気にして1試合ごとにフォームが変わり、1年を通して試行錯誤し続けた。結果、フォームが固まらないままメジャー挑戦となりました。これでは、バッターと勝負する以前の問題です。まして、いちばん意識する大谷との対戦だったら‥‥」(スポーツ紙デスク)
今後、常に比較対象とされる後輩と向き合わなければならないのは想像以上のストレスとなるだろう。
そして、もう一つの「壁」がイチロー(45)だ。入団会見で雄星は「イチロー愛」を熱弁したが、尊敬する偉大なレジェンドが、まさかの「敵」となってしまう危険性もはらんでいるからだ。
「イチローはヤンキース在籍時代、あとから巨額の条件で移籍してきた田中将大に関して『このオファーを受けたことへの覚悟と自信に、敬意が払われるべきだろう』と明らかな皮肉を交えてコメントしたことがある。いきなり高待遇でメジャーにやって来る日本人をまずは色眼鏡で見る姿勢を貫くんです。そしてイチローは、チームメートになった日本人メジャーリーガーと必ず食事をして“面談”をします。おそらく雄星も誘われるでしょうが、そこでマー君のように本気度が認められなければ、今後相手にされなくなることすら考えられます」(メジャー担当記者)
菊池の性格に関しては古巣・西武から「裏で不満をぶちまけるなど、人間関係を築くのがそれほどうまくはない」という指摘もされており、気難しいイチローとの関係は非常に気がかりだ。
「その手助けとなるのは瑠美夫人(32)かもしれません。イチローを支え続ける弓子夫人(53)はマリナーズの婦人会をまとめるリーダー役なんです。くしくも両夫人は英語が堪能な元女子アナだけに、意気投合する可能性が高い。イチローとの関係性の行方を大きく左右するかもしれません」(メジャー担当記者)
3月20、21日に東京ドームで行われるアスレチックスとの日本開幕戦を日本人2枚看板で盛り上げたい球団としても、両者が春季キャンプで平穏無事にシェイクハンドすることを今から願っている。
雄星が期待どおりの活躍をするためには、大谷とイチローという「巨大な壁」を乗り越えなければならない。