とんだトバッチリか、それとも転ばぬ先の杖か。
ドジャース・山本由伸の右肩腱板損傷による負傷者リスト入りで、ロッテ・佐々木朗希の獲得から撤退する球団が今後、続出しそうだ。
山本は韓国で行われたパドレスとの開幕戦シリーズでは打ち込まれたものの、その後はカブスの今永昇太ほどではないにせよ、まずまずの成績を残している。メジャーリーグを取材するスポーツライターが言う。
「メジャー1年目であり、ここまで14試合に先発して6勝2敗、防御率2.92は合格点でしょう」
だが6月16日のロイヤルス戦で突然、右腕に故障が発生し、交代を余儀なくされた。しかも、決して軽傷ではないというのだ。
「MRI検査の結果が出ていないので、山本がどれほど重傷かは現段階では分かりませんが、ロバーツ監督によれば、前半戦はほぼ絶望なのだと。現段階では手術の予定はないものの、もしメスを入れることになれば、今季中の復帰は無理でしょうね」(前出・スポーツライター)
これまでの勤続疲労もあるだろうが、日本では大きな故障がなかった山本でも過酷な移動、使用球やマウンドの硬さの違いが、故障発生の遠因になった可能性がある。
これが佐々木の評価にも波及しつつあるのだ。メジャー関係者の間では「潜在能力では大谷翔平や山本を上回る」との評価がある佐々木については、1年間を通じてマウンドに立ち続けるには不安要素がありすぎる、と。スポーツ紙遊軍記者もこれに頷く。
「右上肢のコンディション不良で、今季2回目となる出場選手登録の抹消となりました。佐々木は入団1年目から大事に使われてきたわけですが、結局はこんな状態。とても中4日、中5日で回るメジャーの先発投手が務まるとは思えませんね」
佐々木本人は今オフに再び、球団に対してポスティングによるメジャー移籍を志願するつもりだ。強行突破も辞さないようだが、それは獲得する意思がある球団あってのこと。年齢的に考えれば、山本がドジャースと結んだ12年総額3億2500万ドル(当時のレートで約463億円)を目安にするだろうが、メジャー関係者からは「パンクする可能性がある投手に積極的に手を出すのは、あまりにリスクがありすぎる」との声が漏れ始めているのも仕方のないことなのだ。
(阿部勝彦)