例年より全国的に梅雨入りが遅れているせいで、6月だというのに週末は日本各地で30度を超える日が相次いでいる。特にツライのが、夜間の蒸し暑さだ。
6月から冷房をつけるのを躊躇すると、明け方には寝具が汗でじっとりと湿っている。不快この上ない。
そこで参考にしたいのが6月絶好調男「Mr.June」と呼ばれるドジャース・大谷翔平だ。2021年、2023年の6月にはそれぞれ13本塁打、15本塁打をマークし、今年も現地時間「父の日」のロイヤルズ戦で2打席連続本塁打を放った。
ロサンゼルスと日本では湿度が違うが、夏でも昼寝を含めて12時間以上眠る大谷の「快眠」の秘密をいま一度、ひもといてみる。
大谷の睡眠のこだわりは「①時間、②寝具、③ポジティブ思考」にある。夜は10時間以上、昼も2時間以上の昼寝をしていると明かしており、12時間以上眠るスタイルは、野球少年だった頃から変わりない。現在は昼寝の際に医療機器を併用し、筋肉疲労の蓄積を抑えている。
大谷が最もこだわっている寝具は、自身がCM出演し共同企画を手がける、西川のコンディショニングマットレス「エアー」の上位モデルである「エアーSX」。遠征先では「エアー」ポータブルを使用している。
体圧を点で支えるタイプの寝具で、体が沈み込んでも体と寝具が密着することはない。夏季は湿気を吸い取るエアードライシートを重ねることで、ベッドの床板とマットレスの間に空気の通り道ができて、通気性が向上するという。
2年前、大谷の愛用品と同モデルの寝具が展示されたが、その際の掛け布団は「エアーCN コンフォーター」という、西川と東レが共同開発した、カーボン製の長繊維を中綿に使ったハイスペックモデル。羽毛布団より15%軽く、薄手で体にフィットするのが特徴で、保温性と通気性いずれにも優れている。空調で肩を冷やすことも、発汗によって掛け布団の中が蒸れることもない。
驚くのはその値段で、ダブルサイズだと9万9000円とメジャー級。なかなかの出費になるが、大谷が選んだ寝具を参考に、自分の財布の中身に合わせて夏用ダウンや体にフィットする薄手のキルト等、冷えと蒸れを防ぐ掛け布団を見つけるのもいいかもしれない。
ちなみに今年2月に同社オーダーメイド枕を採寸した動画を見ると、大谷は利き腕である右肩を下にした「右向きで眠ることはない」と断言。仰向け、または左向きでの寝心地を入念に確認していた。
「よく眠る」という言葉は、大谷にとっては少し意味合いが違うようで、どんなに深い眠りについていようと不用意に寝返りを打つことはなく、意識的に右肩と手術後の右肘をかばっているのだろう。
別の動画では、試合で結果が残せなかった日や、エラーをした日ほどよく眠るといい、
「寝つきは悪くないですね。ぐっすり眠って、翌日はスッキリする」
と語っている。
気持ちの切り替えがうまく、眠る前に嫌なこと、失敗したことは思い出さずに布団に入る。これは大谷が高校時代から愛読していた中村天風の「運命を拓く 天風瞑想録」(講談社)に書かれている「悲観的にならない」「眠る前に自分の願いを自分に命令する」「翌日起きた時に昨夜眠る前にかけた自分の願いは叶ったと自分に言い聞かせる」の実践と言える。
大谷のポジティブな睡眠導入法は、ビジネスマンも今夜から取り入れたいところだ。
ちなみに大谷モデルのマットは、最安値のシングルタイプでも17万円するが、昨年はWBC効果で売り上げが3割増。今年も父の日企画として同社オンラインショップで再入荷した、大谷愛用の「エアポータブルクッション スクエア 大谷選手モデル」(1万1000円)が好評で、あっという間に完売した。
そんな大谷自身の「父の日」は、前述の2打席連続本塁打に加え、故郷の花巻空港とJR花巻駅限定のJALポスターに、サプライズ登場。
「あの日のキャッチボールを、僕は覚えている」「父のおかげで」とメッセージが添えられ、大谷が少年時代に野球に明け暮れた実際のグラウンド遠景と、夕焼け空に大谷が浮かび上がるノスタルジックな仕上がり。
ポスター掲示は6月22日までだが、JR水沢駅に飾られたドジャーブルーの短冊が鮮やかな南部鉄器の風鈴700個と合わせて、初夏のみちのく観光の「SNS映えポイント」になりそうだ。
(那須優子)