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「英仏2強」に襲い掛かるのは…サッカーUEFA欧州選手権で目に焼き付けるべき「世界をリードする3人の選手」

 サッカーUEFA欧州選手権(EURO2004)が開幕した。

 前回の大会は、イタリアがイングランドとのPK戦に至る死闘を制し、2度目の優勝を飾った。今回はスペインと並ぶ3度の最多優勝を誇るドイツで開催。次代のスター候補が目白押しの大会となりそうだ。

 そんな中、優勝候補に挙げられているのは、イングランドとフランス。この2強を追うのが、開催国ドイツである。

 イングランドはワントップに、ブンデスリーガの得点王ハリー・ケインを置く。2列目には左にマンチェスター・シティのサイドアタッカーで、今季絶好調のフィル・フォーデン、左には「アーセナルの最高傑作」と言われる、22歳で左利きのブカヨ・サカ。そしてトップ下にはレアル・マドリードに移籍して決定力が増した、20歳のジュード・ベリンガムを置く。破壊力は大会トップクラスと言っていい。

 代表チームを指揮して8年目のガレス・サウスゲート監督は「(優勝する)最後のチャンス」と、この大会を最後に退任をほのめかしている。それだけ自信があるということだ。

 フランスは選手層なら、イングランドよりも厚い。攻撃の中心は左ウイングの世界最高の選手キリアン・エムバペ。右にウスマン・デンベレを置き、前線にベテランのオリヴィエ・ジルー。リンクマンとしてアントワーズ・グリーズマンをセンターに置く。その後ろをオーレリアン・チュアメニと、21歳のエドゥアルド・カマビンガのレアル・マドリード・コンビが支える。ディディエ・デシャン監督は就任12年目。選手としても監督としても経験豊富で、2018年のW杯に次ぐタイトルを狙っている。

 開催国のドイツは低迷期を脱出した。昨年9月、日本代表に敗れた後、新監督に就任したユリアン・ナーゲルスマンが立て直したからだ。

 安定しなかった最終ラインは、リーグ優勝のレバークーゼンからヨナタン・ターを招集。固定しなかった左サイドバックは、リーグ2に躍進したシュツットガルトのマクシミリアン・ミッテルシュテットが台頭して安定した。

 攻撃陣はジャマル・ムシアラとフロリアン・ヴィルツといった、次代のスター候補の21歳コンビがチームを引っ張る。さらに3月に代表復帰したベテラン、トニー・クロースの存在も大きい。クロースの組み立てにより、前線の攻撃陣が活発になったのは事実だ。

 この3カ国を追うのはスペインを筆頭に、2度目の優勝を狙うクリスティアーノ・ロナウド率いるポルトガル、連覇を目指すイタリア、若いタレントを揃えたオランダあたりか。

 ぜひとも注目してほしい選手は、最後の大会になるだろうポルトガル代表のロナウド、クロアチア代表のルカ・モドリッチ、そしてこの大会後に引退を表明しているドイツ代表のクロース。世界のサッカー界を引っ張ってきた彼らのプレーを、しっかりと目に焼き付けてほしい。

 彼らに代わって欧州のサッカーを引っ張っていくであろう若手選手も、じっくりと見てほしい。特に今大会は、10代の選手が多く登録されている。

 その代表的な選手が、クロアチア戦で大会最年少出場記録を更新した、スペイン代表の16歳ラミン・ヤマルだろう。FCバルセロナでも数々の記録を更新した神童だ。学校の宿題を持参してEUROに参加しているようだが、そのプレーはすでに世界レベルと言っていい。

 そのほかにもフランス代表の18歳ウォーレン・ザイール・ニメリ、トルコ代表の19歳コンビ、アルダ・ギュレルとケナン・ユルディス。さらにベルギー代表の19歳、アルトゥール、フェルメーレンなど、多くの10代選手が登録されている。彼らがどんなプレーをするのか楽しみだ。

 決勝は日本時間7月15日の午前4時。サッカーファンにとって、寝不足になる1カ月が始まった。

(渡辺達也)

1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップ・アジア予選、アジアカップなど、数多くの大会を取材してきた。

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