6月22日と23日の両日、バスケ日本代表とオーストラリア代表の「男子強化試合」が、Bリーグのレバンガ北海道の本拠地アリーナ「北海きたえーる」で行われた。
第1戦89-90、第2戦95-95という、超大接戦の2連発に、満員のブースターは声を枯らしていた。
世界ランキング5位のオーストラリア相手に、2戦合計で1点差という熱い試合を繰り広げた日本代表には、「もう少しでどちらも勝てた」「パリに向けて期待が膨らみます」と、試合後は数多くのエールが代表には送られていた。だが、スポーツライターの顔は曇ったままだ。
「世界ランキング26位の日本が大善戦という見方なら、確かにその通りです。ですが、第1戦は富永啓生の3連続スリーポイントなどで前半は9点差のリードしましたが、後半に守備が崩壊して逆転負け。第2戦は河村勇輝が28得点のスコアリーダーになりましたが、どのクォーターもオーストラリアに万遍なく得点を許し、結局はドロー。試合後にホーバス監督が『ネガティブなところがたくさんあった』と答えているように、間違いなく失点が多すぎるんです」
東京・国立競技場では6月22日、ラグビー日本代表が同じく世界5位のイングランドと激突した。2015年以来の指揮を執るエディー・ジョーンズ監督が掲げる「超速ラグビー」が前半で失速し、4万4000人の観客が熱くなるシーンがほとんどないまま、17-52と惨敗を喫した。
ネット上では新生日本代表を嘆く声や、早くもエディーJAPANに対する疑問の声が聞こえているが、前出のスポーツライターは、バスケとラグビーの男子日本代表を比較すると、あきらかにヤバいのはバスケの方だと語る。
「ラグビーは結果的には惨敗でした。しかし、イングランド代表は日本に敬意を表して、ケガの選手を除いて、ほぼベストメンバーで戦ってくれました。反対に、日本代表は現役の大学生を筆頭に、初代表のとなる若手が中心でした。これは、最大目標を2027年のW杯に置いているからできる構成で、高額チケットを買ったファンからは不満が出ていましたが、まだまだメンバー選びを構築していく時間があるという意味で、悲観する必要はなかったですね。反対にバスケ日本代表は、7月が最大目標のパリ五輪と考えたら、このままでは間に合いません。というのも、今回のオーストラリア代表には、代表候補メンバーに選ばれた10人のNBA選手が1人も入っていません。ほぼ2軍のメンバーでした。本番になれば、ジョシュ・ギディー、パティ・ミルズ、ダンテ・エクザムら、錚々たるメンバーが顔を揃えるはず。反対に日本は、元NBAの渡邊雄太選手、検討中の八村塁選手以外はほぼベストメンバー。この差は歴然です」
とはいえ、昨年のW杯で火がついた男性バスケだが、W杯は32カ国中、実は19位。アジア1位で五輪切符を手にしたが、メダルを狙える位置には到底いない。
本音を言えば、予選リーグで戦う3戦のうち1勝できれば御の字というはずだ。だが、バスケブームに乗っかった国民は贅沢なもので、やはり予選突破を期待してしまう。
五輪では、世界3位のドイツ、9位で開催国のフランスなどが相手となる。そう考えると、まだW杯まで3年あるラグビー日本代表と比べ、バスケ日本代表にタイムリミットが迫っているのは紛れもない事実だろう。
(飯野さつき)