団体スポーツの試合ではたびたび、敗退したチームの中で足を引っ張った選手、あるいは決定的なミスをした選手などを指して「戦犯」と糾弾することがある。
サッカーW杯は2026年の本番に向けて、アジア最終予選のグループ組み合わせが発表され、日本はオーストラリア、サウジアラビア、バーレーン、中国、インドネシアと同じグループCに入った。
過去のW杯を振り返れば、2006年ドイツ大会での日本は2敗1分でグループステージ敗退に終わったが、その戦犯こそ自分であると懺悔したのは、元日本代表DFの坪井慶介氏だった。
坪井氏は前園真聖氏のYouTubeチャンネルに出演すると、自身のサッカー人生を回想。2002年に浦和レッズに入団すると、その年に日本代表に選出され、2006年のW杯ドイツ大会に出場している。
「プロになる前から底辺でやっていたので、挫折したことはないんです。もともとできていないから、後悔したこともない。さすがにW杯だけは、唯一の後悔。経験不足ってこういうことなんだな。アンダーカテゴリーから世界を見てきた同世代と僕との差を、改めて感じた。気持ちの面や準備で、自分がずっとやってきたことが、W杯だけできていなかった」
坪井氏は初戦オーストラリア戦にスタメン出場したが、足をつって56分に交代。ブラジル戦にはフル出場した。オーストラリア戦は1-3、ブラジル戦は1-4で敗れている。
なぜいつもやってきたことができなかったのかについて、坪井氏が言うには、
「気持ちの準備をすごく大事にしてて、ディフェンダーだったんで、大丈夫だと思わない。ここは危ないかもしれない、この選手は速いから危ないかもしれない、こいつは高いから競り負けるかもしれない、だからこういう準備をしよう、というタイプだった。W杯の時は『俺は大丈夫、俺はできる』って入っちゃった。そうなったのは緊張。ルーティンをやるかどうかも忘れちゃうぐらい、アガっていた」
出場した2試合で、負けた責任を今も感じていると話し、
「僕は今でもサポーターから『2006年、ドイツに行ってました』って言われたら『ごめんなさいね。戦犯は僕なんですよ』と。今となっては笑って話せますけど」
この失敗を次の世代につなげ、日本サッカーの強化に尽くしてほしい。
(鈴木誠)