日本代表として2006年のサッカーW杯ドイツ大会に出場し、浦和レッズで長く活躍した坪井慶介氏が、自身のサッカー人生を、前園真聖氏のYouTubeチャンネルで語った。
坪井氏は小学3年生でサッカーを始め、地元の少年団でプレー。中学生になると東京都町田市のクラブチームに所属し、高校は名門・三重県立四日市中央工業高校に進学。プロを目指してサッカーを続けたものの、Jリーグのクラブからオファーはなく、一時はプロを諦めて工事現場でアルバイトしていたという。
卒業後はJFLや地域リーグで、働きながらサッカーを続けていこうと考えていたが、高校の教師からプロを目指すために大学進学を勧められ、福岡大学に入学。高校時代に培った「特殊なボランチ」で、1年生の時からレギュラーを獲得した。
特殊なボランチとは何か。坪井氏によれば、
「守備の時になると、ブワーッと出てくる。相手のトップ下とかゲームメーカーを潰すぜ、って。潰して(ボールを)取って(味方に)預ける。マイボールになるとスッといなくなる。ボールは受けない。余計なことはしない。来たボールは右から左に流す」
ボール奪取専門であり、攻撃の組み立てにはいっさい参加しないボランチだというのだ。
このプレースタイルを武器に、全国大会へ出場。3年生から4年生になる時にはJリーグの複数のクラブからオファーがあり、特に熱心に誘ってくれた浦和レッズに入団する。プロ選手になる夢を叶えたのである。
浦和でのプレーは「特殊なボランチ」そのものだったと、サッカーライターが証言する。
「浦和ではボランチではなく、センターバックとしてプレーしましたが、役割はボール奪取を含めた守備だけで、攻撃に参加することはほぼありませんでした。それでもこのプレースタイルで、浦和入団の翌年には日本代表に選ばれています。高校時代に培った『特殊なボランチ』で、日の丸を背負うまでになったわけですから、立派な武器です」
近年は何でもできるオールマイティーな選手が求められ、坪井氏のような特殊なプレイヤーは誕生しにくくなっている。サッカーファンは「坪井2世」の出現を見てみたいのだが…。
(鈴木誠)