2006年サッカーW杯ドイツ大会は、サッカーファンにとって「中田英寿の大会」として記憶に残っている。
中田はチームの中心選手として君臨。最後のブラジル戦に1-4で敗れるとセンターサークルで仰向けになり、悔しさをあらわにした。この時、チームメイトが声を掛けなかったことから、中田の「孤立」がクローズアップされることに。
当時のチームメイトはこれをどう見ていたのか。元日本代表でドイツ大会のメンバーだった坪井慶介氏が、前園真聖氏のYouTubeチャンネルに出演し、真相を明らかにした。中田氏との関係を聞かれた坪井氏は、
「やっぱりちょっと、なんていうんですかね、ヒデさん自身も自分をみんなと同じ存在にしないよう、気を付けていた気がするんですよね」
中田氏が自身を「王様」として「演出」しているフシがあったと、当時を振り返ったのだ。なぜそんなことをする必要があったのかといえば、
「僕らの世代は仲がよかった。ワイワイやる感じだったんで、ワイワイだけではダメだよっていうのを、自分という存在で作っていた、という気がします。今となれば」
チームを引き締めるために、自ら嫌われ役を買って出ていた、というのである。しかし、それに気付くことはなく、
「当時はちょっと『なんだよ!』と思っていましたけど(笑)」
そのせいか、チームは2敗1分でグループリーグ敗退に終わり、中田氏の策は結果的にみれば、うまくいかなかった。それでも坪井氏は感謝しているという。
「初戦で4カ所足をつって、けっこうなことじゃないですか。『何やってんだ』って言われてもおかしくないのに、色々ありすぎて僕のことはあまり世に出ていないんですよね。柳沢のことがあったり、ヒデさんが引退しちゃったとか」
ドイツ大会の日本代表は、内部分裂したと言われている。もし中田氏の考えをチーム全員が理解し、ひとつになっていたら、どんな結果がもたらされていただろうか。
(鈴木誠)