今週は中山で「AJCC」が行われる。注目は、有馬記念で1番人気に支持されたゴールドシップ。メンバー唯一のGI馬だけに、ここは負けられない!? 一方、中京の「東海S」は、コース巧者ナムラビクターが人気の中心。
今回のアメリカJCCの焦点は、何といってもゴールドシップが出走してきたことで、どんなレースを見せてくれるのかに尽きるだろう。僅差3着だった有馬記念から、1カ月余り。前走後すぐさま挑戦を表明し、じっくりと乗り込んできたので仕上げに抜かりはないと思うが、とにもかくにも、このGI5勝馬を巡って各馬がどう挑むのか。興味尽きないGII戦だ。
まずは、この最有力候補だが、舞台となる中山競馬場は皐月賞、有馬記念のGI2勝があるように、最も得意とするところ。それが最たる挑戦理由だが、有馬記念は、凱旋門賞に臨んだあとの帰国初戦。間があいたことで、体の作りにやや余裕があった。
つまり、使われての良化は大いに見込めるわけで、それを思えば、まさにここは馬券的に“2着探し”の重賞と見ていいわけだ。
実際、馬単導入後の過去12回のうち、その馬単で万馬券になったのは3回(馬連で2回)のみ。おおむね堅く収まる重賞と言っていい。ならば穴党の出番はないのだろうか。
しかし、過去を振り返ってみてわかることは、6歳以上(ゴールドシップは6歳)でもよく勝ち負けしているものの、やはり5歳馬が最多で、明け4歳馬の活躍も目立っている。“シップ絶対”と言い切れないのも、また確かだろう。
穴党は穴党のスタンスを守ろうではないか。
“2着探し”と前述したが、そうであっても、ざっと顔ぶれを見渡してみると、その候補は少なくない。それだけ今回は魅力的で伏兵視されるべき馬が多いということだ。
レースのアヤ、展開しだいでは、そうした伏兵がゴールドシップの足をすくうシーンがあっていいわけで、穴党としてはそのへんに望みを託してみたい。
何頭か注目すべき馬はいる。それだけに難解であることは確かだ。それでも最も期待を寄せてみたいのは、マイネルディーンだ。
前走、準オープンを勝ち上がったばかりで、今回はオープン、それも超一流を含めて、かなりの強敵が相手になる。楽な競馬は望むべくもなく、互角に渡り合えるかどうかは、かなり厳しいものがある。それでも目下の充実ぶりを思えば、勝機十分と見ての狙いだ。
その充実ぶりだが、以前は使うたびに体力を消耗していた馬が、これまでとは真逆に、一戦ごとに体重が増えてきており、ひ弱さは完全に影を潜めたと見ている。だとしたら、期待していいのではないだろうか。
もともと、厩舎ではクラシックを──と将来性を嘱望されていた逸材。本格化してきたとあっては、断じて軽く見るわけにはいかないはずだ。
血統的背景からも狙いは立つ。母系は、母の父からトニービン×ディクタス×ノーザンテーストと、決め手とスタミナが兼備された種牡馬が配合されており、近親、一族にはムービースター(中山記念、金鯱賞など4重賞勝ち)ほか、活躍馬が多くいる良血。良馬場条件に大きく狙ってみたい。
逆転候補は、パッションダンスだ。脚部不安による長期休養明けを使われて3戦目。この中間、稽古の動きに素軽さが出てきており、1週前の追い切りも実にリズミカルだった。前走・中山金杯の内容は悪くなく、変わり身を見込んでよさそう。こちらは姉に桜花賞2着のアドマイヤキッス(ローズSなど重賞4勝)を持つ良血。好走必至だ。
穴は、ダークシャドウ。復活の兆しがうかがえるうえ、ここ目標に好仕上がり。軽視はできない。
◆アサヒ芸能1/20発売(1/29号)より