動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」で配信中、世界中で大ヒットしている戦国ドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」が、テレビ界のアカデミー賞と呼ばれる「第76回エミー賞」のドラマシリーズ部門において、なんと22部門、最多25のノミネートで話題をさらっている。
作品賞、主演男優賞、主演女優賞、監督賞など主要部門はもちろん、編集賞やキャスティング賞、さらにサウンド関連の賞など、まさにスタッフ全員がノミネートされているようなお祭り状態。見事なまでに日本人の名前がズラリと並んでいる。
その中でもやはり最注目は、製作と主演の真田広之だ。もはや真田はアジア人が登場するハリウッド映画では「顔を見ないことはない」という常連の一人だが、今回のエミー賞を総なめするようなら、あの有名俳優と完全に立場が逆転すすると言われている。映画ライターは次のように評するのだ。
「これまで、日本人俳優として米国でナンバーワン扱いされていたのは、トム・クルーズ主演の『ラスト・サムライ』(03年)や、クリストファー・ノーラン監督の『インセプション』(10年)で主要キャストとして好演した、渡辺謙です。ところがここ数年で、真田の株が爆上がり。すでに立場が逆転したという声があるほどです。というのも、マーベルの大作『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19年)、ブラッド・ピット主演『ブレット・トレイン』(22年)、キアヌ・リーブス主演『ジョン・ウィック:コンセクエンス』(23年)に真田は脇役で出演しましたが、この何が凄いかといえば、出演映画の大半がブロックバスター・ムービー(興行的に大成功した映画)だから。おかげで世界中で顔が知られる、アジア人なら真田で…となるわけです。また、現在はもう63歳の真田ですが、アクションができる経歴はかなりプラスになっていますね」
そんな真田がハリウッドと手を組んだ「SHOGUN 将軍」の評価がなぜここまで高いのか。映画ライターが続ける。
「ひと言でいえば、ハリウッド版大河ドラマです。題材は『関ヶ原の戦い』ですが、もちろんかなりエンタメ風に脚色はされています。ですが、ここに日本のテレビでは考えられないほどの製作費が投入され、セリフは基本的に日本語。真田自身が製作していることで、よくある〝とんでもジャパン〟が登場しません。ですから、近年のニッポンブームで色々と詳しくなった欧米人の琴線に触れたことが大きいですし、そもそも『サムライ』は大好きですからね。そして、日本人が見てもおかしなところがほとんどない上に、ドンデン返しのストーリーがあることで、ドラマとして飽きさせません。すべてのアベレージが総じて高いので、実際に日本の大河ドラマと比べて『日本のテレビが作るドラマより日本的』と、ため息をつく視聴者が続出しています」
事実、米国の最も有名な映画批評サイト「Rotten Tomatoes」ではトップニュースで「SHOGUN 将軍」を取り上げている。また、7月18日現在で同サイトの視聴者の作品評価は99%とほぼ満点で、辛口が多い批評家ですら91%の超高評価を与えているのだ。
「エミー賞はひいき目抜きでSHOGUNフィーバーになる可能性は高いですよ。そうなれば『日本人俳優といえば真田広之』として、真田株はストップ高になるのではないでしょうか」(前出・映画ライター)
すでに第2、第3シーズンの製作をディズニーが明言しているだけに、勢いはとどまるところを知らない。9月16日(日本時間)の授賞式が楽しみだ。
(塚田ちひろ)