水曜夜7時の番組といえば「有吉の壁」(日本テレビ系)だ。有吉弘行が、いわゆる「壁芸人」といわれる若手・中堅芸人の繰り出すミニコントを、毎回〇か×で判定する、おなじみの外ロケ番組である。
商店街や巨大ショッピングモール、大学、テーマパーク、さらにはひとの街を借り切り、そこにいる面白い人になり切るのがテーマ。後半20分はスタジオで、ネットでバズリそうなアーティストになりきってオリジナル曲を披露する「ブレイクアーティスト選手権」が展開される。
番組の歴史は古く、2015年4月から深夜帯を中心に、不定期で放送。これがやがて評判となり、2020年4月8日からゴールデンに昇格した。
その初回2時間スペシャルの個人視聴率は8.5%(ビデオリサーチ調べ、関東/以下同)と、好調な滑り出しだった。ところが現在は、だいぶ落ち着いてしまっている。
6月12日の個人視聴率は3.9%、6月26日が3.9%。7月10日の2時間スペシャルも4.4%と低調だった。6月12日は「有吉の壁」の影響か、そのあとに放送される「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」も3.8%と、低い数字を残した。やはり個人平均で、今より1ポイント以上は欲しいところだが…。放送作家が現状を分析する。
「とにかく明るい安村がこの番組で再び脚光を浴びたり、2022年にはまさかの映画化も。『有吉の壁 カベデミー賞 THE MOVIE』として2日間、全国各地の映画館で上映するなど、番組人気が急激に伸びた時期がありましたが、こうした芸人による番組は、どうピークを持続できるのかは予想できない部分がある。しかも出演芸人がほぼ毎回、固定化してしまっていることで、新規の視聴者を獲得しにくいのです」
もうひとつ致命的なのが、有吉の「キャラ変」だ。放送作家が続ける。
「開始当初は毒舌芸人の名残りか、芸人のネタに容赦なく×をつけていましたが、今やすっかり丸くなり、〇をつけることが多くなってきた。つまり、かつては恐れられていた、まさに『有吉という壁』がそこまで怖がられなくなり、番組の醍醐味が薄れつつあるのです」
とはいえ、今も日本テレビのタイムテーブルには欠かせないプログラムであることは確かなようだ。
「そこまで予算もかかりませんし、裏番組もそこまで強くはない。芸人たちの熱量が高いうちは、続くのではないでしょうか」(日本テレビ関係者)
有吉が若い頃に出演しいた「内村プロデュース」(テレビ朝日系)の流れを汲む、貴重な若手育成番組。その意味では長く続けてもらいたいが…。
(高階格)